「ぬーえ」

うふふー、こんなところで逢えるなんて運命?
そう言うと呆れたような顔の鵺が振り返った(前はアホだろって歩いてったのに振り返ってくれるなんて進歩)。


「運命も何も、はここの教師だろうが」
「もー、夢もロマンもないんだからー」
駄目よそれじゃ、というとそれでいいんだよ、と言われた。

今年中学三年生になった学ランの素敵な鵺は、一ヶ月前、ようやく恋人になれました。
毎日ストーカーしてた甲斐があったっ!
恋人になって変わったことといえば、やっぱり追い出されなくなったことかな。


「で、。今日俺の家に来るのか?」
「勿論!」

後は、向こうから誘いを受けるようになったこと。
教師だとかPTAだとか、そんなものは気にしちゃいけない(愛は尊きものなんだって学校の諸君にしっかりと脅し・・・もとい、教え込んだからね)。

まぁ、流石にまだ手は出してないけど(あ、ちゅーは別ね)。



それから、恋人になって変わったこと。

「ったく、しょうがねぇな」
そう言うときの鵺の顔が、呆れた顔から笑顔に変わったこと。

そんなときに、愛されてるって、思う。


「鵺はやっぱり女教師が好みだったりするの・・・?」
うふっと笑うと、馬鹿じゃないのか、と思いっきり蔑まれた(あ、愛が・・・)。
本気で考えてるんだからね。


鵺は中学校3年生でぐんぐんと背が伸びてしまって、あたしより高くなってしまった(小さい鵺が可愛かったのに・・・いや、大きい鵺も格好良くて素敵よ、うん)。
そんな変化にニヤニヤ・・・もとい、ニコニコしてると、怪訝そうな顔をされてしまった。

「何ニヤニヤしてんだよ」
「あら、いやね、鵺。これはにこにこしてるっていうのよ」
もう鵺が素敵すぎて、思わず頬が緩んじゃうってわけで。別に鵺に邪まな思いを抱いてるとかそういうことなんだけども。

本当、あんなに小さくて可愛かった鵺が、今じゃ格好良くなってるんだもんな。
(とりあえず、ファンクラブを潰したのはあたしじゃない、と言い訳しておく)



「鵺もあと少しで卒業だね」
そうしたら高校に行くんでしょ、というと鵺は短く「ああ」と返事を返した。
実は、こっそりと鵺の卒業と一緒に高校に転勤するのは内緒だ。

「鵺ももう15歳だねー」
ラインまでは、とりあえずあと少しで越えるわけだし。

ちゅーだけじゃね、女だって足りないのですよ。


「そうだな」
ぼんやりと校舎を見てる鵺のホッペにキスをした。


「ね、卒業式終わったら、ストーカーのごとく家までついていくから!」
「いや、普通に来いよ」
って毎回言われるけど、侵入するほうが性に合うんだよなぁ・・・(あら、根っからのストーカー気質?)。

中学校卒業したら、手、出してもいいよね。


「ま、とにかく行くからね」

「ああ」
何にも知らない鵺に、あたしはにっこりと笑った。








( 貴方を手に入れておくためだったら、何だってするってこと )