、現在スミナ孤児院のマザーやってたりします。 彼氏、いまだ無し。 「どうしてっ!どうして出逢いがないのっ!!」 洗濯も掃除も済ませて、夕飯が終わって、やっと一休み、の時に、あたしは大きく叫んだ。 「どうしたの?ちゃん」 きょとんと首を捻らせて、ハルコちゃんが、あたしを見上げる。 ちなみに、マザーっていうのは、皆の世話役の女の人のこと。 「ううん、なんでもないよ、ハルコちゃん」 そんなハルコちゃんにニコリと笑って返すと、突然バタバタと音がした。 「Happy Mother's Day!!」 何十層にもなった声がリビングに突入してくる。 「いつもありがとう、マザー」 「ってわけで、彼氏が居ないちゃんに、鵺をプレゼントー!」 「焼くなり煮るなり、お好きにどうぞ!」 上から、タツ君、エっちゃん、コウ君だ。 そして、皆が引きずってるのは、グルグル巻きにされて、アホ毛にリボンをつけられた鵺。 「・・・みんな、ありがとう。でも、これに手を出すと、お姉ちゃん犯罪者になっちゃうから」 でも、気持ちだけ貰うね!と、皆を強く抱きしめた。 「おい―――!」 「皆優しいね」 「おい、てめぇ!無視か!!」 ニコニコ笑って言うと、後ろから鵺の叫び声が聞こえる。 「もー、何よ、鵺」 「何よ、じゃねぇ!俺を助けろ!っつーか助けろ!」 「い・や」 ンベと拒否する。 「折角皆があたしにプレゼントしてくれたのにー」 「俺は物かぁ!」 ロープで縛られているので、ビチンバタンと動きながら必死で逃げようとする。 あっはっは、みんなに押さえられて逃げられると思うか! 「折角、彼氏の居ないあたしのために、皆が用意してくれたんだよ?」 「俺に拒否権は・・・?」 「無い」 スッパリ、といいきると、鵺は俯いて、ブツブツと呟く。 「どうせ、どうせ俺って、そんな役割だよな・・・」 涙を流して突っ伏す鵺に、仕方がないからロープを解いてあげた。 「で?」 「あ?」 「鵺からの母の日のプレゼントは?」 「・・・・・・・・・自分から要求するかよ・・・ほら」 ポンと渡されたのは、ピンクのカーネーションの髪飾り。 「ピンクのカーネーションって、花言葉は『あなたを愛します』だって知ってる?」 ニターと笑って言うと、鵺が赤い顔をして、そっぽを向きながら答えた。 「・・・・・・知ってる」 |