「別れたほうがいいんじゃない?
突然の仲間の言葉に、あたしは苦笑した。



あたしの彼氏は、所謂『雷の王』なんてものをやっていて、王の座を、玉璽を狙うやつらはたくさんいて、そのためならなんでもする。
例えば、誘拐に脅迫に、盗み、正統に戦う奴は珍しいくらい(なんて根性がない奴等なんだろうって思うけど)。

とにかく、そんなせいで、あたしも狙われたことがある。
というよりもさっき狙われてきたばっかりだ。

あたしは目の前の仲間にニッコリと笑ってやった。
「やだね!」
それに予想してたと言わんばかりに溜息を付く仲間に笑って、外の窓へと飛び出した。




「ごめーん、待たせた?」
ガシャ、と音を立てて下りれば、そこにはニカっと笑う鵺がいた。

「おう、待たされた」
「うわー、そこって普通待ってないよ、って言うところじゃない?」
「・・・マッテナイヨ」
「棒読みかよ!」
こんなテンションだし、中学生だけど、鵺は立派に雷の王、らしい。

一緒にいたら狙われること多数だし(最近はぶちのめしてるから少ないけど)、誘拐されかかったこともある。
といっても、あたしだってその辺のライダーよりは強いから十倍返しするけど。
兎に角、付き合ってていいことってのはあんまりないかもしれない。


「アイス食べたい〜」
「今からかよ、太るぞ?」
それに、口も悪い(太るぞって、普通女の子には禁句でしょうが!)。



ガシャン、とホイールの音が鳴る。
「で?。アイツなんの話だったんだよ」
アイツ、とはあたしの仲間のことである。

「んー別れたほうがいいんじゃない?ってさ」
壁の上でバランスを取りながら歩いていると、ふと後ろには黙り込んだ鵺がいた。

責任感強いのはいいことだけど、悩みすぎってのもどうなのよ。
「そっか・・・」
といってブツクサ言い始めて考え込んでしまった。


あーあ、言うんじゃなかったかなぁ・・・責任感の強い鵺のことだから、本当に俺と付き合ってていいのか・・・とかって思ってるに違いない。

、本当に俺と付き合っ」
「はい、黙れー」
ゴスン、ととりあえずA・T踵落としをしておいた(A・Tを履いたまま踵落としをすることである!(そのまんまじゃん!))

いい音したなぁ、あっはっは。


「っ、何すんだよ!」
「鵺がマイナスネガティブ思考でぐちぐちと言うからでしょうが。第一ね、別れたいなんていわれても別れてなんてやらないからね!」

一歩前に出て、鵺を振り返った。


「愛が続く限りね!」





犠牲なんていらない。
ただがいる。



( 一人じゃ怖いかもしれないけど、この道は二人で歩いていくんだよ )