ドダダダダダダダダダダダ!!!!
倒れるように走り出した轟音に、鵺は目を見開いた。
「ぬ、ぬ、鵺様ぁあああああああ!!!!」
そんな轟音の発生源である、は、涙ながらに鵺へと飛びついた。

「あ、足はありますか!?死んでませんよねぇ!?ああ!ひょっとして実体のある幽霊だなんてそんなぁ!!!」

「落ち着け!」


ドス、っとチョップを喰らって、はふぬおお・・・!と蹲った。
「お、落ち着いてますよぉ・・・。鵺様がお怪我をされた、と聞いて、もう心配で心配で仕方が無かったんですから・・・」
目の端に涙を溜めて、俯いたに、鵺は小さく苦笑した。



「ひょっとして鵺様の貞操が奪われてしまったんじゃないかって・・・思わずペンを走らせてしまいました!!」
「どんな心配の仕方してんだ!ボケ!!」
もう一度、の脳天にチョップが繰り出された。

「い、痛いですよ、鵺様。私はものすごく心配してましたのに・・・」
「その心配の仕方がわりぃんだよ、ボケ」
再びボケ、といわれて、ガーンという効果音を立てながら、は落ちこんだ。

「し、しどい・・・」

まるで悲劇のヒロインのようにハンカチを咥えて泣くに、鵺は溜息を吐いた。
よよよ、と倒れこんだに、奈々が心配そうに支えるが、ほっとけ、と鵺は切り捨てる。
「奈々ちゃん、優しい・・・アンド可愛いなんて、どこまですんばらしいんですか・・・」
むぎゅ、と奈々に抱きついて、くんくん、と匂いをかいだ。
「あ、あの・・・」
奈々が戸惑うけれど、それにお構いなしに、は奈々の匂いをかぐ。
「うふふふふー」
「何やってんだ、変態」

ゴス、っと今はA・Tのない足で蹴られて、頭を抑えたまま、は床を転がる。
「ふ、ふぬおおおお・・・」
がごろごろと転がっていると、やがて細い足にぶつかった。


「あ、先生」
見あげるとそこには、巻上先生。
相変わらずムチムチだなぁ・・・とは見上げる。
「奈々、鵺。調律の準備が整ったわよ」
「おお!それじゃあいってらっしゃいまし、鵺様」

ヒラヒラーとが手を振ると、鵺は顔を逸らして、奈々はへと手を振った。



ちゃん」
「スピット様」
見送った後に、後ろからスピットがやってきて、は振り返ってニコリと笑った。
「行くのかい?」
「はい。大丈夫ですよ、鵺様の出番は取りませんから」
ニコリ、とどこか冷たさをもって、が笑う。

「恋する乙女を怒らした罪・・・ちょっとウサ晴らしするだけですよ」





私の狂愛覚悟してね、Darling



( 恋する乙女は何よりも強くてよ? )