あたしの彼氏は、疫病神だ。




「だから！何で、あんな大群引き連れて、あたしのエリアに来んのよ！」
「仕方ねぇだろっ！くっ付いてきたんだからよっ！」

ビュオンビュオンと耳の横を通り抜ける風の音を聞きながら、ひたすら引き離すように走りつづける。
後ろに、色々追って来る大群をチラリと振り返って、隣の鵺に文句を言う。


なんといっても、彼は雷の王だ。

しかも新入り、成り立ての王。
そりゃ、狙うなら、ここだよな、とスピードを上げた。


「第一ねぇ、鵺が王になっちゃうせいでしょうがっ！」
「の言うとおりだ！俺は雷の王様だからな！狙われるのも仕方がねぇんだよ！！」
「言ってろっ！」

バーカ！といって、離れようと道を逸らしたら、そっちに鵺がついてくる。


鵺がついてくる＝あの大群もついてくる。


「何ついてきてんのよぉ！！！」
「馬鹿！俺とお前は一蓮托生だっつの！」
「フ・ザ・ケ・ン・ナっ！！」
思いっきりＡ・Ｔを走らせる。

途中、何か（チームメイトっぽいのを）轢いたような気がする。

うん、気のせいだよね！



「まだ追っ――――って増えてるぅうううう！！！！」
「逃げろ！兎に角逃げろっ！！！」
二倍ぐらいに増えたライダーたちを見て、さらに速度を上げた。

ああ、もう！いっつもこんなのばっかり！

「捕まってたかるかぁあああ！！！」




「ぜぇ・・はぁ・・・」
息を荒らげながら、膝に手をついて、息を吐く。

久し振りに会える日だって、いっつもこんなのだから、かなりまいっちゃう。
マトモに、デートなんて出来ないんじゃないの？
（特に、鵺は成り立ての王だから、さらに狙われるし）


「悪ぃな、。久し振りだってのに」
「本当にね」

トゲトゲしく言うと、鵺が苦笑した。

「・・・・怒ってんのか？」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・おーい、ちゃーん。・・・様〜」

「・・・・・・・・・・・・・・・・ぶっ」

「ちょ、てめ！何笑ってんだよっ！！」
うおりゃ！といって、頭を掴んでくる鵺を見て、あたしはさらに大笑いした。


「騙されるほうが悪いの！」
うん、何だか、凄く、君が好き。