「あんなぁ!!おとこなんかぁ!!どうでもぉいいのよぉおお!!」

鼻水だらだら、涙でぐしゃぐしゃ、マイク片手に絶句する友達の前で、あたしは歌いきった。


・・・大丈夫?」
コーラス部で鍛え上げられたこの声は、涙なんかにも負けなくて。
グシャグシャながらも、あたしは98点という高得点をたたき出した。
「ええい!鵺が悪いのよ!なぁあああああにが、「ジェネシスの集会があるから」よ!ごめんとか一言言いなさいよぉ!!」




あたしがなんでこんなに荒れているかは言うまでも無い。
馬鹿鵺がデートの約束破ってジェネシスの集会に行くからよ!!

・・・いや、それはいい。
でも、ごめん、とか謝罪の言葉は無いんかぃいいいいい!!!(ちゃぶ台返し)


「落ち着いて、。しょうがないんじゃない?だって鵺君ってそういう人だし」
「そうじゃないの!人として約束破ったなら謝れって話なのよ!」
ガシっとマイクを掴んで大きく息を吸った。
さすが小学校から一緒の友達は分かったらしくて、耳を塞いだ。

「鵺のばかぁあああああああああ!!!!」

「外で人の名前叫ぶなぁ!!」

バン!と思いっきり扉が開いて、大きな声で文句を言うのは、何か黒い布に身体をスッポリと包んだ鵺だ。
っていうか、何なんだその服っていうか、マント。

「ちょっと鵺君、何他の部屋入ってるの?」
鈴が鳴るみたいな可愛い声がして、長髪の女の人が(っていうか上着の下にブルマっておいっ!)ずし、と入口にいた鵺の上に乗っかった。


・・・・・・・・ジェネシスの集会・・・ねぇ。

「うわぁあああん!鵺が浮気したぁああ!」
「はぁああああ!?」
「ジェネシスの集会だなんて言っておきながら、実はその女の人と浮気してたんだぁあ!!学校で鵺の好みはゴマキ似のボインちゃんですって広めてやるぅ!」
「おいおいおいおい!勝手に誤解して名誉毀損すんじゃねぇ!」
マイクをオンにして叫んでたので(しかも入口開いてるし)、人がゾロゾロ集まってきた。

「女の子を泣かせちゃ駄目だよ、鵺君。ほら、シムカも降りて」
すると、髪型の変な人(失礼)が現れた。

「ああ!?てめ、スピットファイア!さっさとお前が来ねぇからシムカがうごかねぇんだろうが!」
「人のせいにしないの。ほら、鵺君は彼女なんとかしないと」
ギャーギャー言い合ってた鵺があたしの方を凄い勢いで向いた。


「あー・・・なんだ、その・・・」
「・・・」

、悪かった!」
たくさんの人の中、すん、と鼻をすすった。

「ん、ゆるす」
パっと顔を上げた鵺に、一呼吸置いて。



「ここのカラオケ代と、この騒ぎおさめて、お店の人に謝ってくれたら」
「ぅおい!!」

バシィ!と強く鵺の叫びがマイクを通して響いた。





マイク越しのラブメッセージ



( 涙でボロボロな声で届けるのは、君への真っ直ぐな愛の言葉 )