あの時確かに、あたしの中でそのメロディは鳴り響いたのだ。

チャラチャラリーンと甘く、恋のメロディ。
ああ、あたしは、彼に恋に落ちた。




「う、ん・・・」
カーテンがシャっと開かれて入ってきた陽射しに、鵺は身じろぎをした。
もう、可愛いんだから。

「おはよう、鵺☆」
「おは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、何でがここにいるんだよっ!!」
ガバっと勢いよく起き上がって、鵺はあたしを睨んだ。

「睨まないでよ。あ、でも怒った顔もステキ☆」
「いや、さり気に質問を流すな」
「そうね、あえて言うなら・・・愛の力かしら」


窓の鍵を開けちゃったりとか、ついつい出来心で朝ご飯作ったりとか、寝ている鵺をずっと観察してみたりとか。


「それはストーカーだ!!」
何が愛だ!と鵺はバシンと怒りで枕を床に投げつけた。

「えー?ストーカーなんて酷いわ。あたしはただ、愛に忠実なお・ん・な・の・こ☆」
「それをストーカーっつうんだよ、ストーカー」
何時の間にか呼び名がからストーカーに変わっちゃった。
きゃ♪あたしだけの愛称(ボジティブシンキング)。


「それよりもご飯早く食べて?冷めちゃう」
「ああ・・・・・・」
そう言って鵺に服を手渡して、あたしは黙り込んだ鵺を見つめた。

「鵺?」
どうしたの?と覗き込もうとすると、盛大に鵺の顔が赤くなっていく。
あれ?熱とか?


「な、なな、なななな・・・!」
「菜?」
え、鵺の好物って菜だったの?どうしよう!朝食にないわ!!

「な、なんでそ、それ、そそ、その、エプ、ロン・・・!」
「エプロン?」
鵺が目を逸らしながらあたしを指差した。
これは家から持ってきた、フリフリエプロンだけど・・・ああ。

「これは裸エプロンっていうのよ?」

「服を着ろーーー!!!」
あほか!と怒鳴られた。鵺裸エプロンとか嫌いだったのかな・・・。

「ええ?セクシーで可愛いかなぁって思ったのにぃ」
「いいから服を着ろ!そんな格好危ねぇだろうが!!」
「大丈夫よ?鵺が寝てるスキに脱いだし。ここ人から見えないし」

「ば、ば・・・馬鹿!も、もし俺が襲ったらどうするんだよ!!」
「え?襲ってくれるの?」
本当に!と目を輝かせると、鵺がさらに顔を赤くした。


「襲わないっ!!」





抱きしめてよ。ねぇ、大好きな人!



( あたし、貴方への愛のためなら何だってできるって知ってた? )