「ぅおおおおお!ま、ま、」

政宗さんの、着物が、わが腕にぃいいい!!!


こっそり小十郎さんから逃げ出して、あたしは大好きな政宗さんが入ってると聞いて、お風呂場にやってきた。

第一、一応読み書きはできるんだから、勉強なんていらないと思うんだよね、あたし。
小十郎さんに見つかると、また連れ戻されて、奥さんなんだから、って習字の勉強をさせられちゃうので、脱衣所に身を隠した。




そんなわけで、今あたしの腕には、藍色の着物があるわけで。

「くふぉお!われ栄光をこの胸にぃ!」
ぶっちゃけ、奥さんなんだから、こんなことしなくても政宗さんの着物くらい触れるんだけど。

そこは乙女心。
やっぱり、追われるよりも、追うほうのが楽しいわけで。


「すごーい、政宗さん。着物からも、色気が漂ってる」
フェロモンって、やつがし染み付いてるのかな。
ビローン、と伸ばしたり、羽織ってみたりするけど、なんでこんなに色気が出るかわからなかった。

当然といえば当然なんだけど。

脱いだ着物の置いてあった横には、体を拭く布と、新しい着物がおいてあった。
・・・・・・・これ、持って帰ってもバレないよね。

一回、政宗さんの服を被って寝てみたかったんですけど、バレない、よね?
頭の中で乙女思考を思い描きながら、よし!と一歩を踏み出した。


「あー・・・あたし乙女だなぁ・・・。それよりも、バレる前に、さっさと帰らないと」
「Hey、俺の着物持ってどこ行くつもりだい?Honey」

「そりゃ、もちろん、お部屋に帰・・・・・・・・・はぁい、だー・・・りん」

突然あたしの耳に届いた低音ボイスに、ゆっくりと振り返った。
ちょーっと、おそろしくて振り返れない・・・。


「って、何で全裸!?」

振り返るとそこに奴はいた。
じゃなくて、ふりかえると、全裸の政宗さんが居た。ああ、そうか!風呂に入ってたんだっけ。

「で?」
「は、はい・・・?」
「俺の着物を持って、どこに行く気だ?
「ちょ、ちょーっと、政宗さんのお色気の秘密をさぐるのと、あと、ちょっと乙女な思考も働きつつ、掛け布団にして寝ちゃおうかなぁって」

凄い恥ずかしいことを言ってる自覚はあるのだけど、政宗さんに隠し事は出来ない。というか、出来たら凄い。

「可愛いこというじゃねぇか」
「い、いえいえ、まさか。じゃ、私はそれぐぇ!!」
そそくさと逃げようとしたら、後ろから思い切り掴まれて首が絞まった。
ぐ、ぐるじぃ・・・。

「急ぐことなんてねぇだろ?。俺の色気の秘密を、たっぷり教えてやるよ」
何だろう、今オプションで、俺の身体で、って聞こえた気がするなぁ・・・あはは。



「・・・ぎゃあああああ!!!S政宗ぇ!!むしろ私はSになりたいぃ!」
「ははは!きこえねぇなぁ、Mっ気
「聞こえてんじゃないですかぁあああああ!!!!」

その後、政宗さんの着物を掛け布団にして、眠っていたことは言うまでもなかった。





追われるよりも、追う二人



( ってことは、どっちかが追われなくちゃならないっていう結末が・・・ )