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「、16歳!好きなものは猿飛佐助で、趣味は猿飛佐助で、特技は猿飛佐助です」 「ちょ、なんて自己紹介してんのっ!?」 学生服に身を包んだあたしは、ぴしっと手を挙げて自己紹介をした。 それに素敵な声で返事をしてくれたのは、早速ネクタイを緩ませてるけど相変わらず格好いいマイダーリンの猿飛佐助。 何と前世の記憶があって、昔ゆっきーにつかえてたらしい。 やっぱりその時の佐助も格好良かったんだろうなぁ。 「なんて自己紹介って・・・全部本当のことしか言ってないよ?」 「いやいや・・・!!好きなもの、はいいとしてさ・・・趣味と特技が俺様って、何?」 「違うよ!趣味は猿飛佐助で、特技が猿飛佐助なんだよ!」 「一緒じゃん!」 「全然違うよ!?」 何言ってんの!?全然違うじゃん! わけわかんないみたいな顔をしてる佐助に向かって、あたしはビシっと人差し指を立てた。 「いい?趣味は、猿飛佐助、のすべてを観察することで、特技は猿飛佐助、に関するすべてについてなんだから!」 ほら、全然違うじゃん! ちなみに、好きなものは猿飛佐助、のすべてである。 中学生の時にフォーリンラブ(ってあんまり今言わないのかな?)してから早2年。 1年目のときについに思いが実って付き合って、危険な月といわれる3か月なんてもの余裕で越え、絶頂ラブラブのあたしたちに怖いものなんてないわ! ・・・あれ?話がそれた気がする。 「・・・文章には述語を入れなきゃ全然わかんないでしょ!」 「ああ!そっか!それを忘れてたんだ!」 なるほど。 だから大好きな佐助にあたしの言葉が全然通じなかったのね! まぁ、別に好きなものと趣味と特技が佐助でも、全然問題ないんだけど。 「日本語って難しいんだね・・・」 「・・・16年間もそれを使い続けてる人間にそういうこと言われるとは思ってもみなかったよ・・・」 がくっと佐助がうなだれた。 おやまぁ、大丈夫? 「・・・あ、あと忘れてた。将来の夢は、猿飛佐助です!」 「だから述語は!?」 全然分かんないから! 主語だけ言えばいいってもんじゃないからね! と佐助にこっぴどくおこらえた。 ・・・酷い。 流石に自己紹介でこんなに怒られた人間って、きっとあたし一人じゃないのかな・・・。 「・・・うう、わかった・・・」 そこまで言うのなら、主語だけで通じさせてみようじゃない! 無論、述語を入れるなんてそんな面倒なことは逆にしない!! 「将来の夢は、猿飛です!!」 「・・・政宗殿」 「・・・Ah・・・何だ?真田」 「某、毎日毎日破廉恥ばかりで語彙力がないと、先日上杉先生に言われたでござる」 「・・・Oh・・・そうか・・・」 「そこで、某は新しい言葉を覚えたでござるよ」 「Ok、俺も男だ。何も気にすることはねぇ・・・思いのまま言いな」 「っ・・・この、バカップルっ!!」 |