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「―――と、言うわけで、『解体新書』を日本語に翻訳するのに・・・・・・さん?起きてるかい?」 「は、はい!勿論起きてますでございます!」 「・・・寝てたんだね?」 にっこりと、その笑みの奥のブリザードが怖いです、鳳先生。 そんなに見つめられると、わたし照れちゃう・・・あ、ごめんなさい嘘です、もういいません。 「全く。B6程ではないにしろ、君の成績が卒業には危ないから補習をしているってことは、分かってるのかな?」 「そ、それは勿論なんですけども・・・その、鳳先生があまりにも格好良くって!見惚れちゃって!」 うんうん。 ほら、鳳先生って流石T6ってくらい素敵だもの! 仕方がないよね!うんうん! 「褒めてくれてありがとう。でも、それくらい授業に集中してくれた方が私は嬉しいんだけどね?」 「集中したいのは山々なんですが、こう、鳳先生の低くて素敵な声を聞いてると、ついつい眠りの女神さまが嫉妬してわたしを眠りに誘おうと」 「つまりは眠ってしまうと」 「その通りで―――じゃないですじゃないです!!」 ち、ちち、違うんですよ!先生! そりゃ、ね、ついついうとうととしちゃって、いつの間にかノートはミミズがのたくったような跡だけが残り、そうして気が付いたら授業が終わってたとか、そんなことはないんですよ! その、ただ意識が遥か彼方宇宙まで飛んでいってしまうだけで! 「・・・」 「・・・・・・」 「・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・ごめんなさい」 うぅ・・・無言のその視線が痛い。 「・・・はぁ。こうして歴史だけ補習をしているのは、本当にこのままだと卒業できないからこそだということは分かってるね?」 「・・・はい」 「さんも、留年したくないだろう?」 「留年なんかしたら、母親に何をされるか・・・」 往復ビンタならいざしらず、正座十時間は拷問です、お母様。 「ならしっかり教科書を見て。留年から一歩でも遠ざかるために勉強しなさい」 「はーい・・・う・・・目が・・・」 「さん」 じっと鳳先生の視線が突き刺さる。 い、いや分かってるんですけど・・・ですけど、そんな目で見なくたっていいじゃないですかっ! 「もう、いざ留年したら鳳先生にお嫁にもらってもらいますから、いいですよもー」 「どちらにせよ貰うんだから、早く卒業してほしいんだけどね?」 そっか・・・んじゃ、早く卒業し―――。 「・・・あれ?」 |