俺の兄貴は、超生徒会長だ。 廊下を歩きながら、俺は思わずあの兄貴を思い出した。 普通の生徒会長なんて歯が立たない、あの兄貴のストレートな金好きっぷり。いや、むしろ潔いくらいだから大好きなんだけど。 まぁ、思い立ったが吉日。 俺は大きな扉を前に、一つ深呼吸した。 「たのもー!」 バァンと扉が開いた。開いた、はいいものの、ちょっとまて。 あの兄貴のキラキラオーラに慣れている俺ですらしり込みするような、そんなキラキラっぷり。 「・・・アイドル待機場みたいな」 綺麗どころが三人座ってた。 「おや、じゃないか」 あはは、と立派な椅子に座って楽しそうに笑ってるのは、やっぱりうちの兄貴だった。 「兄貴」 「「「あにきーーーー!?!?!?」」」 おぉう、やっぱり、男子校だったんだなぁ・・・。声が男の子だもんな、皆。 「一体どうしたんだい?」 「ん、とりあえず学校見学?」 扇子もって優雅に言う兄貴に、俺は制服も着てきたんだぜ?と答えた。 すると、その綺麗どころ三人の隣にいた、すごく人の良さそうな人が恐る恐る手を上げた。 「あの、会長・・・。ひょっとしてその子は会長の弟さんですか?」 「初めまして、有定です」 兄貴はあれなのにとかそんなことを言い出すと切れます。ご用心。 と、ある程度眺めて楽しんだところで。 「じゃあ、兄貴。俺帰るわ」 「おや、用事でも?」 あらかた見学も終わったしーというと、また兄貴が首を傾げた。 今日は首を傾げてばっかだな、兄貴。 「うん、母さんがどうせなら兄貴と親父抜きでご飯食べに行きましょうって・・・・って、これ内緒だったっ!」 はぐぁ!! あわわわわ、母さんに怒られる・・・と焦ってると、さっき自己紹介してくれた秋良が大丈夫?と顔を覗き込んでくれた。 「秋良・・・っ!」 なんてことだ、兄貴と一緒にいるのにこんなに優しい人がいるなんて、と思わず抱きついた。 「おや、それじゃあオレが優しくないみたいだろう。いいよ、父さんには内緒にしておいてあげる」 そのときの兄貴の目を忘れない「ただし、貸し一つね☆」と光っていたことを。 「さ、さんきゅ・・・。母さんがもうすぐこの学校に変わるなら、その前に女同士で話しましょうって煩くてさ」 「はは、らしいね」 クスクスと笑う兄貴の後ろで、亨と裕次郎と実琴が恐る恐るって感じで聞いてきた。 「えっと・・・女の子?」 はっはっは、今気付いたかね。 (いまだに)抱きついてた秋良から離れて、えへっと笑った。 「有定。正真正銘妹です!」 ちなみに男装して入ってくるからよろしく。 |