「こんにちは、有定君!好きです、お付き合いしてください!!」


「・・・毎回思うけど、よくここに乗り込めるね」
扇子で口元を隠して、ニコリと楽しそうに笑う有定君とあたしがいるのは、生徒会室だった。



男子校の。

「そりゃもう、愛の力ですから!」
有定君のためなら、壁だろうとセキュリティだろうと警備員だろうと一般生徒だろうと、なぎ倒しますから!

あたしはギュっと拳を握った。
これぞ、あたしの愛。


「あっはっは、なぎ倒されたら困るんだけどね」
経費かさむし、色々面倒なことになるから。
と有定君は輝かしいほどの笑顔で言った(素敵!)。



「さすが有定君輝いてる!」
「誉めてもオレからは何も出ないよ」
じゃあどこからなら出るんだろう・・・とちょっと思ったけど、それは置いといた。



さて、とあたしは身なりを整える。

「有定君、好きです!付き合ってください!」
ペコリと頭を下げていってみるものの、有定君は爽やかな笑顔を崩そうとはしなかった。


ち、こうなったら・・・襲うしか・・・。



「ねぇ、さん」
「はい!?」
頭の中でフツフツと黒いことを考えてたのがバレたのか!?

目の前で輝かしいほどの笑顔な有定君が何かを差し出してきた。


「はい、これ」

思わず握りこんだのは、紙?


「オレが外に出たら開いてごらん」

ちょ、耳元は止めてください有定君っ!
鼻血寸前になってると、有定君は妖艶に笑って離れた。



「お、おす!外に出るまで開かないであります、会長!」
「君がそんなこと言うと、本当に下僕(いぬ)みたいでいいね」
え、それって誉め言葉っ!?
あたしがショックを覚えてると、有定君は軽快に歩いていった。


そういえば外にって言ってたけど、一体有定君はいつ外に出るのだろう。

ボンヤリと有定君に渡されたぎゅっと握った。




「・・・長い」
ぼぉっとグランドの方を見てるけど、中々有定君が出てこなかった。
もうあけちゃおうかな・・・。


「あ」


そう思った瞬間、有定君の頭が見えた(しかもこっちみて・・・何故か、笑い出した?)。


兎に角あたしは紙を開いて・・・、

「あ、あ、有定君大好きーーーー!!!よろしくお願いしますーーー!!!!」


こっちを見て驚いた顔をしてる生徒が一杯いたけど、気にするもんか。
ヒラヒラと笑いながら手を振る有定君に、あたしは『付き合ってもいいよ』と書いてある小さな紙を握り締めた。









( 別にオレ、外に出たら開いてごらんとは言ったけど、外に出るまで開くなとは言ってないんだけどね )