「ツナさーん!」
「わ、ハル!」
突然後ろから飛びついてきたハルに、綱吉は目を見開いた。


そうしてもう一人。


「綱吉ー!」
前から飛びついてきたに、さらに綱吉は驚きを露にした。


っ、ハル!二人とも飛びついてくるなよ!」
前後から飛びついてきた少女二人に、綱吉が大きく溜息を吐いた。

ちなみに、一人騒いで武に押さえられている隼人については、二人とも完全無視である。



「そーよ、ハル。離れなさいって」
ちゃんが離れてくださいよー」
前後綱吉を挟みながら会話をする二人に、綱吉がさらに挟まれる。

「二人とも離れてくれよ!」
綱吉の叫び声が川原で響いた。




「いーじゃねーか。両手に華だぞ、ツナ」
「華って言われてもなぁ・・・」
両側を挟んで陣取る二人に、綱吉は大きく溜息を吐いた。
リボーンが時々、二人に拍車をかけるので、さらに心労は増えるばかりだ。


「梓ちゃん、ツナさんに関してはハルの方が先なんですよ!」
「先とか後とか関係ないわね!要は愛よ、愛!愛の大きさ勝負なんだから!」

「は、はひ!ラブならハルも負けませんよ!」
言い合う二人に、綱吉は盛大に溜息を吐いた。


山本は見てるだけで止めてくれないし・・・獄寺君はボムで対抗しようとするから危険だし。
はぁ、と綱吉はまた溜息を吐いた。


普通の男から見たら、この事態は歓迎することなのかもしれない。
けれど、そう思うにはさすがに・・・。


「ふ、二人とも・・・っ!」
競い合うように激しくなっていく二人の会話に、綱吉は汗をかいた。

正直言って、こんなテンションは正直・・・疲れる。



「ハルはツナさん呼びでしょうが!あたしなんて綱吉だから!超呼び捨て!」
「む!は、ハルだって呼べないわけじゃないですよ!!ですけど、ハルは慎ましやかな女の子なんです!」
ついに二人は立ち上がった。


「慎ましやかな女の子!慎ましやかな女の子は電柱に登らないって!」
「ハルは愛のためなら一直線なんです!」
女の子に取り合いされる、というのは決して悪い気分ではない。


けれど。

「(・・・なんで二人とも)」


「ハルはマフィアのボスのお嫁さんになるんです!」
「じゃあ9代目のお嫁さんにでもなったらいいじゃない!あたしは10代目のお嫁さんになるんだから!!」

そろり、とその場所から抜け出した。

けれど二人はずっと激しい言い合いを続けたまま、綱吉が離れたことには気付いてはいなかった。



「(俺のことを、俺を完全無視して言い合うんだろう・・・)」
はぁ、と綱吉はまた溜息を吐いた。









( 大切な友達と好きな人のために言い争うのも女の子の楽しみの一つなんです! )