「隼人、協力なさい!」

ビシリと、あたしは目を見開く隼人に指を差した。




「・・・なんで俺が十代目とあのアホ女をくっつける手伝いをしなくちゃなんねぇんだよ!」
「お黙り!」
隣ですごくイライラしながら言う隼人に、あたしはスパンと叩いた。

「あんたそれでも右腕なの!?普通右腕って十代目の幸せのためなら自分の感情抜きにして頑張るもんじゃないの!?」
ふん!と鼻息荒く言うと、隼人はうっと詰まった(単純だ・・・)。

「・・・そうか。そう、だよな・・・。仕方ねぇ、よな」

うんうんと頷いて(ちょっと落ち込んでる)隼人はわかった、とちょっと哀しそうに言った。
そんなに(あの子のことが、好きなのかな)。

白い煙をプカプカ吐きながら隣に座り込んでる隼人を見た。


あたしたちの目の前には綱吉とハルが二人でいた。
真っ赤な顔をしたハルと怪訝な顔をしてる綱吉。

ちなみに、ハルは今まさに告白しようとしていて、けしかけたのはあたしだ。


絶対あの二人は両思いなんだから、さっさとくっつけばいいのに(そうしたら、隼人も諦める、のに)。



「あ」



綱吉の顔が、赤く染まった。
ハルが嬉しそうに笑って、涙が零れて。

上手く、行ったんだ。



「・・・良かったのか?

そうして手を繋いで歩いていく二人を見てると、突然隼人が言った。

「何が?」
良かったのかって良かったに決まってるじゃん。
一番よくなかったのは、隼人なのに。

隼人はちょっと困ったようにガシガシと頭をかいて、

十代目のこと好きじゃなかったのかよ」

「は?」


えー・・・ちょっと待て、ちょっと待て。
十代目って綱吉、綱吉のこと好き・・・。

「って誰が?」
「お前だっつーの!」


は、

「はぁあああ?」


心底不思議そうな顔をすると、隼人も不思議そうな顔をした。


「ち、違うのかよ!」
「違うわボケぇ!!あんた、鈍い鈍いと思ってたけど・・・!」
信じられない!と叫ぶと、隼人はさらに驚いた顔をした。


ああ、顔真っ赤だっ!

あたしは急いで立ち上がった(そうしたら隼人も追うように立ち上がった)。


「隼人!」

真っ赤な顔をしたあたしと怪訝な顔をしてる隼人。


「あたしが好きなのは、あんただよ馬鹿!」

隼人の顔が、赤く染まった。






貴方ヲ想フ 君ヲ想フ



( あたしは嬉しさで笑って、涙が零れて )