「ただいまー・・・って姉何してんの」
リビングで写真の整理をしていたあたしに、弟の綱吉は怪訝そうな顔をした。



「何って・・・雲雀の写真の整理」

あたしの目の前に広がってるのは、綱吉の写真でも、お母さんの写真でもなく、最近恋人になったばかりの並盛の秩序(本人談)の雲雀の写真だ。
もちろん、全て隠し撮り。


「見てみてー!格好いいでしょ!」
「ふーん・・・って、何で着替えの写真までっ!」
これって犯罪じゃないの!?と綱吉が叫んだ。

いい?綱吉・・・乙女は恋愛のためなら何したってオールオーケーなのさ!



「それよりも・・・綱吉はどうなのさ」
「何が?」

「何がって、ハルちゃんとよ」
首をかしげた綱吉に、あたしは当然のように言った。
ちなみに、ハルちゃんとは三浦ハルのことで綱吉と付き合ってる女の子なのである。

「キスくらいはした?」
「ぶふー!!!」

おおぅ、噴いた。
目の前でゴホゴホと咽る綱吉の背をさすった。



「ほら、ハルちゃんって綱吉にはオールデレじゃない?まぁ雲雀はツンデレで可愛いんだけど。キスくらいの発展はしてないと物足りないかなーって」
そう言うと、綱吉の顔がムっとゆがんだ。

「ハルは確かに一直線でオープンな性格だけど、雲雀さんみたいにあんな咬み殺すの優先じゃないから。常に俺優先だから」
はっ。と綱吉の吐き捨てる声が聞こえた。

む、喧嘩売ってんのかお前。



「雲雀の可愛さを知らないからそんなことがいえるのよ!雲雀は告白の前にキスして押し倒すデレなんだから!」


「いや姉!それ犯罪だから!!っていうか自制力なさ過ぎだろ!」



ぜーはーと叫びすぎて荒い息が出てきた。
く、姉弟こういうところはそっくりなんだから・・・っ!



「まぁ、でも・・・雲雀のあの可愛さは拷問並よね」
手を出さずにはいられなくなっちゃうっていうか。

そう言うと、綱吉も気まずそうに顔を逸らした。
「そういえば、ハルも俺に対してすごく無防備なんだよね・・・着替えてる途中で平然と入ってくるのはやめて欲しい・・・」
はぁ、と溜息を吐く綱吉。

・・・それはキツイな・・・いや、まじで。




あたしは整理し終わったアルバムをパタンと閉じた。

「それじゃ、あたし出かけてくるね」
「あ、俺も出かけてくる」
お母さんに手を振って、二人で玄関を潜りぬけた。


「で?どこ行くの?」
あたしの問い掛けに、綱吉がニヤリと笑って、あたしもニヤリと笑い返した。


「雲雀のとこ!」
「ハルのとこ!」

それぞれ大好きな人のところへ歩き出した。









( 最初は歩きで、次は走って、そうして貴方の驚いた顔を見にいこう )