この男が、女に優しいというのは。 嘘だ。 「リボーン」 あたしはいつも通りリボーンの部屋でゴロゴロしていた。 ベットの上からベットの淵に座ってるリボーンの背中に抱きついた。 うわ、硬い背中。 「・・・重い」 「うわ、それって普通女の子に言う?」 確かにこの間ちょっと太ったけど。 悪態をつくリボーンの背中に、あたしはわざと体重をかけるようにのしかかった。 「てめぇ、ちったぁやせる努力をしろ」 「してるもーん。っていうか、女の子にあんまりにも不躾な話題じゃない?」 「はっ、が“女の子”だったらこの世全国全ての女が女性だな」 わけわかんないっつーの。 この男が女に優しいっていうのは、あくまで他人とか愛人に対してであって、彼女のあたしには優しくない。 畜生、ここはとっとけって薬指にちゅーしてくれたリボーンはどこへ。 付き合い始めを思い出して、くっとあたしは拳を握った。 二人っきりなんだからもっと甘い空気ってものが流れてもいいんじゃないだろうか。 「つーか、重てぇ」 「だから失礼だっつってんだろ、この野郎」 第一人間一人重たいって言ってるくらいでよく死神がつとまるわ! と思ったけど、これは所詮本心じゃないのだから。 なんていうか、あれだ、うん・・・リボーンってツンデレ。 情事の時には、凄い甘いんだからこの変貌っぷりには脱帽だ。 「ケーキやら菓子やら遠慮無しに食べてるからそうなんだよ。いつか腹が脂肪でボコボコになるんじゃねぇのか」 はっとリボーンが吐き捨てた。 これくらいで傷ついてたらリボーンの傍にいられない。 というか、ここから勝たなくちゃ、リボーンの本命なんていってられないのだ。 「そんなこと言っていいんだぁ・・・」 にたり、とあたしは笑った。 既にこの男の趣味は熟知しているのだ(何年一緒にいると思ってるの)。 「あ?」 「折角新しいブラとパンツ買ったのに」 怪訝そうに振り返ったリボーンの鼻先に、あたしは軽くキスを落とした。 「リボーンの大好きな黒なのになぁ・・・しかもホットピンクの糸で刺繍がしてあってレースもあるけどシンプルで可愛いやつなのに」 ピクリとリボーンの眉が動いた(あと一押しだ)。 「そんなこと言ってもいいんだ」 ぐらり、とあたしの体が倒されてベットの上に落ちた。 「・・・凄ぇ軽い、可愛い、愛してる」 だからさせろと言わんばかりに言うリボーンにあたしはしてやったりとにやりと笑った。 「しょうがないなぁ。許してさしあげてよ、リボーン」 その代り、下着汚したら殺す。 |