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「嫌ーーーー!!!絶対いやぁああああ!!」 多分、あたしの絶叫はこのボンゴレ内に響き渡ったんだと思う。 だってだって、大好きな大好きな大好きなお父様と、大好きな大好きな大好きなお母様が告げたのは、酷い宣告だったから。 「ボンクラ息子と結婚なんて、絶対いやぁああああ!!!」 婚約って、何さ! そう叫ぶとお父様は困った顔をして、お母様は悲しげな顔になった。 「俺だって可愛いをあんな男に嫁がせたくなんてないよっ!なのに、あのボンクラ親父!どうしても、一度でもいいからってしつこくてしつこくてしつこくてっ!しかもハルに近寄るし!」 「お母様のためにあたしを犠牲にしたってことっ!?」 「違うに決まってるだろ!」 俺だってそんなことさせたくないし、っていうか嫁がせたくないし!とお父様が叫んだ。 そんなこと言ったって、結局は会う約束になっちゃってるんじゃないの。 あたしわかってるんだから。 こういうのって一度会ったらその気があると思われちゃうし、断れても他のところから誘いがやってくるし。 そうなったら最後なんだってば! 「あの、十代目・・・書類を・・・」 入ってきて阿鼻叫喚みたいな景色に驚いてる、自他共に認める右腕の隼人さんが書類を持って呆然としていた。 困ったように整った眉を寄せて、奇麗に輝く銀色の髪を耳にかけた。 そうしたら隼人さんの付けてるピアスに付く忠実という意味を込めたガーネットが見えた。 ・・・あたしは、隼人さんが好き。だからお見合いだってしたくない。 弟がいるから十一代目の心配はしなくてもいいけどさ、だけどお見合いはしたくない。 好きな人と結婚したい(って思うのは、この世界ではなかなか難しいかもしれないけどさ)。 第一隼人さんって、あたしがずっとずっと告白してるのに中々本気で相手してくれないんだよね。 多分、一過性のものだと思ってるんだと思う。 本気だってこと、わからせてやるんだから。 「・・・わかった。一度、会うよ」 「・・・」 「ただし!」 ほっと安心したようなお父様にビシっとあたしは指を立てた。 それにお父様がビクっと体を震わせる。 そんなお父様を無視して、あたしは書類を持ったまま苦笑してる隼人さんの方に近寄った。 「え、お嬢さ、」 ぐいっと襟首を引っ張った。 目の前には隼人さんのドアップ。 隼人さんの目が思いっきり見開かれてるし、お父様は叫ぶことすらできないくらいかたまってるし、お母様は顔を真赤にしてカチカチに固まってるけど。 無理矢理呆然と開いた口に舌を押しいれた。 「むぅっ!む、む、むーーーー!!!」 「・・・・・・ぷはぁっ!」 物凄く真赤な顔をしてる隼人さんの腕にぎゅっとしがみついた。 「隼人さんと婚約させてくれたらねっ!!」 「え、え、えぇええええええっ!?!?!?!?」 多分、お父様の絶叫はこのボンゴレ内に響き渡ったんだと思う。 |