「ちょっと、!待ちなさいっつーか、待てこらぁっ!!」 「佐助キャラ違うぅ!絶対に待たないー!!」 いつもの可愛い笑顔じゃなくって青筋立ててあたしを追ってくるのは、結構偉い身分の忍者の猿飛佐助。 まぁ、色々ありまして、今全開で怒ってくる佐助を振り払って逃げてる。 「俺は認めてないってっ!いいから止まれ!」 「認めるまで止まらないんだからっ!!」 何が原因かっていうと、あたしが二週間前に屋根裏に潜んでいた佐助のところに押しかけて、半ば押し倒すように事を運んだのが原因だったりする。 いや、それは原因じゃないんだけど。 その後が問題だったわけで。 「さぁて、もう逃げる場所はないからな!いい加減諦めて薬飲んでおろせ!」 「・・・・・・うっ」 その後、孕んでそれをおろそうとしないあたしが原因だったりするんだけど。 「お、お館様ーーーー!!!幸村様ーーーーー!!!たすけてぇええええ!!!」 おろしてたまるかーーー!!! あたしは全ての力を使って叫んだ、その数瞬後。 「!ややは無事かっ!?」 「佐助、急いては事を仕損じると言うぞ」 「ちょ、旦那は兎も角お館様までっ!何言ってるんですか!」 突然現れてあたしを護るように立つ二人に佐助が焦ったように言う。 焦ってる佐助も可愛い・・・(きゅん)。 「あのですね、俺もも忍者なんですよ?子作りとか出来るわけがないでしょうが!」 「何を言う!佐助やという優秀な忍者の血を途絶えさせないためじゃ!」 「だぁああ!」 あーもう!みたいな感じで佐助が叫ぶ。 そりゃ、あたしたちは忍者だけど、忍者が子どもなんて作ってたら困るけど、だけど。 「つ、作るんだから!!佐助との子どもじゃなきゃ意味ないもっ、うわぁああん!」 最初はあたしだって想ったよ。忍者が子どもなんて作ってたら、ダメだって。 だって、忍者は人じゃない。 でも、だからこそ、作らなくちゃいけないって思ったんだもの。 「・・・佐助、女子を泣かすとは何事だ!責任を取って、きちんと話し合え!」 「え、ええぇ!?」 幸村様が、さぁお館様!ってお館様を連れて行って、二人きりになった。 「・・・」 佐助が目の前にしゃがんで、ちょっと優しい声で言う。 「あの二人の反応ってことは、相当頼みこんだんでしょ・・・。そんなに産みたい?」 「ん」 即答で頷いた。だって、佐助との子どもなんだから。 「・・・知らないよ、俺」 「・・・っん」 知らなくてもいいもん、とそう言おうとして顔をあげたら、佐助は想像以上に優しい顔で笑ってた。 「俺が子煩悩になっても、知らないからね」 「さ、さすけぇええええ!!」 |