赤ちゃんが出来ました。 ・・・のは、嬉しいからいいんだけど。 この場合、どっちの子どもになるのかな・・・。 「咢ー。あのさ、思ったんだけど、これってさ、二股状態なのかな?」 「・・・は?」 珍しくきょとんとした顔をして咢が首を傾げる。 だって、咢と亜紀人って二人で一人だけど、なんていうか全くもって別だから一人だけど二人みたいな感じだし。 でも一応主人格は亜紀人になるんだよね。 「とうとう熱でも出やがったか?」 「おいこら、人を勝手に病人扱いするんじゃありません」 ぺたっと咢のちょっと冷たい手があたしの額に触れる。 何その病人扱い。 「だって亜紀人ともちゅーしたことあるし、咢もそれを許容してるでしょ?」 あたしはまぁ・・・こう言うとあれだけど、両方のことが好き、だ。 咢はそれに関して何かを言ったりなんてことはしない。 「・・・・・・」 「だからさ!ずっと考えてたんだけど、この場合どっちが赤ちゃんのお父さんになるのかな?」 「・・・あ?」 まあ、二人と一緒にいられればそんなこと些細な問題なわけですが。 ・・・いや、いっそのこと二人ともお父さんっていうのもいいかもしんない。 「―――ファック!!突然何言いやがるかと思ったら、そういうことはさっさと言いやがれ!!」 「だから今言ったじゃない。ちょ、そういえばそのファックってのやめてよ!もし第一声がファックとかだったらあたし泣くよ!?」 「ファ・・・・・・、ちっ、そんなの、が好きな方にしやがれ」 あたしの言葉に流石にそれ以上言えなくなったのか、ぷいっと後ろを向いてしまった。 あ、拗ねた。 「ごめんね、咢。大丈夫。パパが二人だってきっとあたしと咢と、亜紀人の子なら大丈夫だって」 ペタリと後ろから抱きついてみる。 うん、あたしが混乱しなかったみたいに、咢とあたしと亜紀人の子なら、絶対に大丈夫。 「・・・亜紀人が、めちゃくちゃ喜んでる・・・」 「うん」 お腹に回した手に咢の手が重なって、そのまま二人で黙り込んだ。 亜紀人はきっとぴょんぴょん飛び回って喜んでるに違いない。 「産まれたら、海人さんに見せに行く?」 「死んでも嫌だ」 |