「赤ちゃんできた」 「・・・そう」 結構爆弾的な発言をしたはずなのに、父親であるはずのアレンはちらりとあたしを見てそう短く答えただけだった。 「・・・ねぇ、赤ちゃんできたって言ってるんだけど」 「二度も言わなくても聞こえてるよ。じゃないんだから」 「ちょっと待て、それどういう意味だ」 喧嘩売ってるわけ?売ってるなら買うけど? そう言うと、身重の身で喧嘩買うつもりとか、馬鹿?って言われた。 「・・・いらないの?」 「いるよ」 「・・・・・・そう・・・」 もしかして、嫌だなぁと思ってるのかと思って聞いてみたら、即答で否定された。 いるんだ。 もし、いらないって言われたら即刻アレンと別れて一人で産んで一人で育ててたけど。 アレンのことを愛してるからこそ、アレンとの間に出来た子どもを殺せるわけなんかないし。 ・・・いや、いるって言われたんだから、そんなこととりあえず考えなくていいんだ。 「そうじゃなきゃ、何のためにコムイさんからもらったアレ使わずにいたと思ってるんだ」 思わず、目を見開いてしまった。 つまり、それって。 「・・・わざと作ったの?」 「計画性もなく恋人を突然身重にするような男だと思ってるってことだよね?うん、わかった。そこへなおれ」 「ごめんなさい」 思わず頭を下げたけど、すごいこと言われた気がする。 ああ、そっか・・・うん、良かったね。 君はどうやら望まれて作られて、望まれて産まれてくるらしい。 「・・・あのね、もしもアレンがいらないって言ったら、今すぐここ出てこうかと思ってた」 今じゃもうエクソシストを強く縛るものはないから、可能だし。 「出ていって、はどうするつもりだったの?」 「一人でこの子産んで、アレンって名前つけて、全身全霊で愛してあげるつもりだった」 「やめようよ、その名前。縁起悪い」 クスクスと、アレンの笑う声が聞こえる。 自分の名前を自分で縁起が悪いって・・・まぁ、その通りなんだけど。 「ねぇ、アレン」 「うん?」 そう呼びかけたら、アレンがクスクス笑ってるのを止めてこっちを見た。 「アレンとのね、赤ちゃんができたの」 嬉しくてたまんないって顔でにっこりと笑って言うと、アレンもあたしに負けないくらいににっこりと笑って言った。 「・・・ありがとう、。これからも、ずっとよろしく」 |