「やーやーやー、みなさんお疲れ様だことで!」
あはははは、なんて渇いた笑いも出ちゃうね、こりゃ。
千年伯爵との闘いは終わったとは言え、依然AKUMA残党のために日夜働く科学班は死屍累々と言わんばかりの状況で、そんな光景にあたしはにっこりと笑う。
お手伝いなリナリーちゃんも若干大変そうだったから、今度医療班からおいしいお菓子をあげようっと。

「ちょ、。それだけを言いに来たのか・・・?」
そう項垂れながら手を動かしつつ答えてくれたのはリーバー班長で、絶賛目の下に真っ黒な隈が付いている。
「かっかっか!その通りさ!」
「なんつぅ極悪人間だよ!」
そう叫ぶリーバー班長の手は依然止まらないままだ。
・・・逆にすごいなぁ・・・。

「ごめんごめん。冗談だって。医療班から御用達の栄養ドリンクのプレゼントですよ」
まぁ、医療班としちゃこの死屍累々な状況に今すぐドクターストップをかけてやりたいくらいなんだけど、それは流石に無理な話で。
「わぁ!ありがとう、。よし!じゃあこれに僕の特性の活力剤を!」
「ものども、奴を止めろぉおお!!!」

・・・うわぁ、死屍累々。
コムイが止められてぐすぐす泣いてるけど、慰めてなんかやらない。
むしろ、もっとむせび泣けばいいんだ。

「あっはっは。馬鹿じゃねぇの?コムイ。そしてもっと泣けばいいさ!はいずりまわってむせび泣けばいいさ!!」
「・・・?」
あたしのおかしいテンションにリナリーがきょとんとあたしを見てくるけど、うんごめん、反応出来ないんだ。
今だってあたしはとてつもない怒りに燃えているから。

「コムイ、てめえ新人がちゃんと仕事覚えた時期狙っただろ!」
「医療班には迷惑かけてないんだから、いいじゃない」
やっぱり計算ずくか、てめぇええ!!
思わずがっくりと肩の力が抜ける。
かといってなぁ・・・流石にあたしが医療専門だからって・・・その選択肢は選べねぇし。

「兄さん、。一体何の話なの?」
きょとんと首を傾げるリナリーに、あたしは思わず同情したくなった。
ああ、あんなにもブラックで腹黒な兄を持ちながら、こんなにピュアだなんて、本当に奇跡だよね、絶対。


そんなリナリーに、あたしとコムイはそろって口を開いた。

「リナリー!喜んで!君にお姉さんと甥か姪が出来るよ!」
「この計算高い黒室長に孕まされて、赤ちゃんができたからリナリーのお姉ちゃんになります」


一瞬の沈黙。
その後黒の教団本部に響き渡った叫び声に、隣でにっこりと笑う馬鹿室長の頭を叩いておいた。





コムイ・リーに、赤ちゃんができましたって言ってみた。



( つーかやっぱりお前計算ずくかぁあああああ!!つーか、なんであたしの周期知ってんの!?キモ!! )