ああ、本当に男って理不尽で馬鹿で単細胞で考えなしで、一直線馬鹿! 誰が気を使ったのか、リーバーが倒れたという情報が伝えられて。 その時あたしはああ、そうなの、って言ったのよ。 だってあの科学班だもの。 いまだに忙しい科学班なんだから倒れる人間くらいいて当然なのよってそう思ってたのよ。 なのに、体は勝手に走り出して、医務室まで一直線。 あたしはちらちらと時計を見ながら猛ダッシュで医務室のドアまで来て、思いっきり扉を開いた。 ら、そこにはリナリーとリーバー。 「・・・お邪魔しました」 ドアをパタン。 「いやいやいや、違うだろっ!?」 「!?」 そのまま踵を返そうとしたあたしに、飛び出してきたリナリーが腕をつかむ。 うふふ、いいの、気にしないで。 「大丈夫よ、コムイには言わないから。あれだけシスコンなお兄様を持つと大変だものね。女同士ですもの、応援するわ」 「!違うの!私一人じゃないわ!ちゃんとアレン君もいたけど、今アレン君がトイレに言ってるだけなの!」 「リナリー、自分を偽らなくても大丈夫よ。あたし、わかってる」 ぐっと拳を握ると、腕をつかむリナリーがブルブルと首を振った。 あらやだ、気を使わなくたっていいのよ。 「大丈夫よ、なんならいっそのことあたしがコムイを闇討ちして」 「何怖いこと言ってるんですか?さん」 ふいに声をかけられて、横を見ればアレンが歩いてきていた。 「あらアレン。えっと、リナリーとリーバーの恋路を応援しようと思って」 「・・・すみません、記憶違いでなければ、さんとリーバーさんが恋人だった気がするんですけど」 ・・・。 「・・・ああ」 「どうして思い出したみたいにポンって手を叩くの!?!」 「いーからお前ら、兎に角入ってこい!」 焦ったように叫ぶリナリーの言葉に続くように、リーバーの叫び声が病室から聞こえた。 アレンにも背中を押されて、渋々室内に入る。 「いいか?。何を考えてるかは知らないが、さっきのの考えは全部空想だ。妄想だ、捏造だ」 「・・・そんな日もあるわ!」 「開き直ってどうするんですか!」 ぐっと両手を握ったあたしにアレンから鋭いツッコミが入る。 いや、う、うん、あるってそんな日も!ねぇ! 「そういえば、リーバー班長が倒れたって誰に聞いたの?多分まだ兄さんしか知らなかったと思うんだけど」 「ええ、丁度科学班に向かって走ってたところをコムイに呼びとめられて。それでそのまま方向転換して医務室に走ってきたの」 「・・・ってことは、俺に用があったのか?」 そう首を傾げるリーバーの言葉に、こくりと頷くけど。 ・・・あれ? 「・・・走ってたら内容を忘れたわ・・・」 「・・・・・・・・・」 医務室に向かう前まではそれで頭が一杯だったんだけど、今度はリーバーが倒れたってことで頭が一杯になって。 えーっと・・・。 「あ!思い出した!」 「ん?なんだ?」 そうだそうだ! 「妊娠したんだった!」 「・・・は?」 あれ?何でいきなり静かになるの? 「・・・え、えっと・・・・・・今、何て?」 「ん?妊娠したの。2か月だって!」 「さんが、ですよね?」 「そうよ?」 どうして信じられないみたいな顔して見られてるのかしら? あれ?と二人の顔を見てたら、がしっとリーバーに肩を掴まれた。 「妊婦が走るなっ!というか、そんなでかいこと忘れるなっ!」 「だってリーバーが倒れた方がショック大きかったんだから仕方がないじゃない!さらにリナリーとの浮気のコンボだったら忘れるに決まってるじゃない!」 「浮気じゃないだろ!」 「・・・アレン君、わたしたちは退室しようか・・・」 「そうですね、リナリー」 |