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「ありえない!!」 急いで帰ってきたあたしは、彼に呼び出されたのかリビングで紅茶を飲むまばゆい面々の前で、思いっきり叫んだ。 有り得ない!! 「おかえり、。どうしたんだい?そんなに叫んで」 「うるさいわよ、修也!!・・・あ、秋良君に実琴君に裕次郎君に亨君いらっしゃい。ゆっくりしていってね」 ぎろりと修也を睨んでから、あたしは4人ににっこりと笑顔を向けた。 ・・・というよりも、卒業して大分経つのにこうやって呼び出されると集まっちゃうのね。 なんというか・・・。 「あ、ありがとうございます・・・先輩・・・じゃなかった、えっと、有定、先輩」 「無理して呼ばなくてもいいわよ。秋良君が困る必要性なんてないんだから。全部元凶は修也よ」 そう言って、にっこりと笑みを浮かべたまま紅茶を口にする修也をぎろりと睨んだ。 何故か卒業してから一度もあたしなんて歯牙にもかけなかったはずの修也が突然迫りだしてきて、そのまま流されるように結婚に至ってしまった。 ・・・本当は、あたしのことなんて視界に入れなかった頃から、修也を好きだったのは、絶対誰にも言ってやらないけど。 修也の場合は見透かされてそうなのがむかつくんだよね・・・。 「そういえば、どうしたんですか?突然ありえないって叫んでましたけど」 そうかわいらしく首を傾げたのは亨君だった。 うん、いまだに姫が出来そうなくらい可愛いわよね。 「ああ・・・うん・・・その、さっき病院に言ってきたんだけど・・・」 「どこか具合でも?」 そうさらりと未だに長く絹のように綺麗な髪を持つ裕次郎君も小首を傾げた。 ・・・ここはアイドルの待機場だったっけ・・・? 「で?どうだったんだい?」 わざとらしい! ギロリとあたしは修也をにらんだ。 「修也の予想通り、できてましたよ!」 「で、できてたって・・・何がですか?」 実琴君もきょとんと目を見開いてあたしを見てくる、その愛くるしさに思わず笑顔が浮かびそうになるけど・・・それどころじゃない。 「何って・・・あかちゃん」 「「「「えぇえぇええ!?」」」」 4人の声が同時に叫んで、あたしを、というよりはあたしのお腹に視線が集中する。 「ほら、僕の言った通りだろう?それにしても、ありえないは酷いね」 扇で口を隠しながら、お前はどこの平安時代の貴族かっていう感じで悲しそうに小首を傾げる修也に、秋良君がはっと顔をあげた。 「そ、そうですよ!嬉しく、ないんですか・・・?」 そうしゅんと見えないけど犬耳を垂れさせてるような感じで聞いてくる秋良君に、思わずうっと息をのんだ。 嬉しいか、嬉しくないのかって言われれば、それは勿論。 「物凄く嬉しくて嬉しくて仕方がなくて、思わず玄関先までずっと修也に思いっきり抱きつきたい気持ちになってたのが、有り得ないのよおおお!!!!」 滅茶苦茶嬉しいんだけど!だけど! 「何が嬉しくて、ライバルの修也にあたしが喜色満面に抱きつかなくちゃいけないのよ!!あかちゃんができたのはそりゃ嬉しいけど、それとこれとは別問題だわ!!」 「一応夫なんだけどねぇ」 「しゃーらっぷ!!あたしが修也に抱きつく光景とか考えてみなさいよ!鳥肌ものじゃない!」 本当は修也に物凄く抱きつきたいんだけど・・・秋良君達がいるっていうのに、抱きつけるわけがないじゃない!! 馬鹿ぁああ!!いてくれるのはいいし、遊びに来てくれるのは嬉しいんだけど、なんで今日に限って家にいるのよぉおお!! 「本当、はツンデレだね」 「黙らっしゃい、修也!」 |