「わ、わ、わ!つ、翼先輩、ちょっと待ってください!」 「だから、もう先輩じゃないんだから翼って呼びなよ・・・。それよりも、何で俺が待たないといけないのさ。俺になら何されてもいいって言ったのはでしょ?」 大きなベッドの上で、もう何度めになるのか覆いかぶさってくる翼先輩を、あたしは久しぶりに拒否した。 あ!翼先輩じゃないや・・・えっと、翼さん、を拒否した。 「そ、それは勿論なんですけど!だけど、今日はちょっと・・・その・・・」 確かに翼先輩になら何されてもいいと思ってるし、本当にいいんですけど。 だけど、でも正直拒否したのは初めてじゃなかったりする。 「・・・何?また太ったわけ?」 「や・・・えっと、」 「前も言ったと思うけど、別に俺はが太ってようと気にしたりなんてしないんだから、無駄な抵抗なんてしないべきだね」 「すごく嬉しいんですけど、別に太ったわけじゃないんです」 いや、えっとある意味太った・・・のかな? 「?一体どういう理由なわけ?まさか俺を納得させられないような理由で止めたとか言わないよね?それともまさか、俺が嫌とか言うわけ?」 そんなこと絶対あるわけないじゃないですか! ぶんぶんと首を振ってから、あたしは翼先輩・・・じゃないや、翼さんの誤解が解きたくて、口を開く。 「あう・・・えっと、だって・・・えっちしちゃったら、赤ちゃん、流れちゃいますよ?」 「って、わっ!」 ガクン、と翼さんが置いていた手が滑って、一気に距離が近くなる。 それで叫んだあたしに、翼先輩がはっとして持ち直してまた距離をとる。 「・・・ここに、いるってこと・・・?」 翼さんの骨ばってるけどすごく暖かい手があたしのおなかに触れた。 「はい。えっと、確か3週目らしいです」 「・・・そっか・・・」 じっと翼さんがあたしのおなかを見ながらゆっくりと撫でる。 すごく嬉しいけど、でもお腹はまだ膨らんでないけどもとよりちょっとぷっくりしてるから、恥ずかしい。 「―――なら、つまりは最後までしなきゃいいんでしょ?」 「・・・へ?」 にやり、と翼さんが笑う。 ああもう、すごく格好いいです!格好いいです・・・けど!! 「翼さ、むっ・・・!んっ!」 あたしの反抗の言葉を封じるみたいに翼さんが口をふさいできて、結局口の中にあった反論全部を奪い取られる。 もう何度もされたのにキスされるたびに心臓が痛いほどドキドキし始める。 翼さんが触れる場所が熱くて熱くて、きっとこの鼓動も熱も赤ちゃんに伝わってるんじゃないかと思うと、尚更心臓がどきどきする。 「ふっ、ん・・・つば、ささ・・・ん。駄目、赤ちゃんに、聞こえ、ちゃう・・・」 「馬鹿。聞かせてるんだよ」 反論はまた翼さんの口の中に吸い込まれた。 |