「ユウー!ユウー!」 「食堂で俺の下の名前を呼ぶんじゃねぇ!!」 大好きな恋人の名前を呼んだら、食堂で呼ぶなって怒られました。 苗字で呼んだら気持ち悪そうな顔をするくせに・・・どうしろと。 「あのさぁ、ユウ」 「だから下の名前で呼ぶなつってんだろ・・・で、なんだよ。」 そう言いながらも顔をこっちに向けて聞こうとしてくれてるユウに、あたしはにんまりと笑みを浮かべた。 相変わらずどんな顔も綺麗だこって。 「あのね、名前何がいい?」 「・・・は?」 きょとん、とユウが不思議そうな顔であたしを見た後、はっと目を見開く。 「まさかてめえ、また変なあだ名つける気じゃねぇだろうな・・・!!」 前に“ユウたん”とか、“ユウこりん”とかってあだ名をつけたら、物凄く怒られた。 っていうか、あたしはそんなことしかしないっていう認識なの!? 「酷い!こんな可愛い恋人に向かって、そんな言い草!」 「泣きまねすんな、気色悪ぃ」 ・・・あれ?ユウ君。 あたしって確か貴方の恋人でしたよね? 「いいもん!ユウがそんなこと言うんだったら、あたし一人で決めちゃうから!」 あたしのネーミングセンスは最悪だからね! 後で後悔したって遅いんだから! 「それ以前にお前は俺の意見なんざ聞かねぇだろうが・・・!っつーか、変な呼び方してきても、返事しねぇからな」 ユウは依然あだ名のことだと思ってるらしく、馬鹿にしたように笑う。 流石に今回はちゃんとユウの意見きかなくちゃって思ったのに! 怒ったあたしは立ち上がって歩き出す。 もういい!ユウなんて知らないから! ちょっと離れたところでくるりと振り返って、あたしは蕎麦をすすりながら悠然としているユウに向かって叫んだ。 バ神田! 「ユウの馬鹿!産まれても抱っこさせてあげない上に、ラビがパパだって言っちゃうんだから!」 カラン、と箸の落ちる音が、騒がしかったはずの食堂でやけに響いた。 「・・・は!?・・・!!ちょ、待てっ!!!」 ガタンと椅子の倒れる音がしたけど、あたしはユウにべーっと舌を出して背中を向けて歩き出した。 |