「う、ごくなよっ!?」


目の前に座るの肩を持って、鵺は顔を赤くしながら言った。
「はい・・・」
そんな鵺にも頬を染めて・・・ではなく、若干諦め気味に言った。


この状態で、一体どれほどの時間が経ったのだろう。
そう思ってはため息を吐いた。

「(いや、そりゃ、鵺様と見詰め合ってるのは嬉しいんですけど・・・)」
いくらだって待ってられますけどね、と思いながらはじっと鵺を見上げた。


ゆっくりと、鵺の顔が近づいてくる。
「(今度は、何センチまでかなぁ・・・)」
ぼんやりとそう思っていると、唇が重なるまで後5cmのところで、鵺の顔が離れた。

「う、あ・・・ちょ、ちょっと待ってくれっ!」
顔を真っ赤に染め上げて、ブンブンと顔を振る。

「(可愛い・・・可愛いんですけど、さっさとキスがしたいんです、鵺様!)」

彼は意外と頑固な頭の持ち主で、キスは男から、という想いがあるらしい。
そんな考えにはまた溜息を吐いた。

以下、の邪まな想いと呆れである。


あーくっそ、可愛いなぁ、鵺様。
押し倒しちゃいたいなぁ・・・でもそうしたら多分ものすごく怒られてキスはなしになるんだろうなぁ。
さっさとキスしてくれればいいのに。
鵺様って凄く初だからなぁ・・・。


以上。


「い、行くぞ・・・?」
ごくり、と鵺は喉を震わせて、少しずつ近づく。


3cm。

2cm。

1cm・・・。

「ちょ、」

っと待ってくれ、と鵺が言うより前に、がグイっと鵺のスソを引っ張った。


「わっ!」
グラリ、と倒れて鵺との顔が近づいていく。

鵺の唇との唇が、ちかづい、ガチン!!

「ぐっ!!」

「・・・・い、勢いつけちゃったから・・・」
歯がぶつかってしまい、豪勢な音が立った。


それからふと視線が合って、それからゆっくりと唇を重ねた。

(ファーストキッスが血の味なんて、中々洒落てませんのこと?)

(血の味って、なんだかなぁ・・・)









( 残念、まろやかタップリ鵺様の血の味でした )