「鵺起きてー!」 約10分くらい声をかけてるけど、鵺がおきてくれない。 もー、昨日ずっとゲームしてるからっ! 折角のお休みなのになぁ。 「鵺ってばー!」 「んー」 揺さぶっても鵺の口からは寝ぼけた声が聞こえるだけで、全然おきようとしない。 いや、寝てる鵺は凄く格好いい。格好いいんだけど。 休日なんだから一緒に出かけようよー! あたしが鵺を好きっていう時間が一秒ずつだとしても減ってくでしょー!! 「鵺、起きてー!」 もぅ!いい加減にしないと、膝でお腹の上飛び乗るよっ!? そう思ってた瞬間だった。 「へっ!?」 ずるって、視界がゆれて。 はっ!?え、あ、え・・・うぇっ!な、何であたし、鵺の腕の中にっ!? っていうか、何であたし鵺に襲われてっ!? なんていうか・・・むしろカモンっ!? ずーっと鵺に告白はしてるけど、鵺からの返事はもらったわけじゃないけど、もしこれで既成事実が出来たら真面目な鵺は娶らずにはいられないよねっ!? あれ。 でも、それって・・・。 「ちょ、ぬ、鵺っ!どいて!」 駄目!絶対にそんなのじゃやだっ! だって、それって鵺の気持ちは手に入らないもんっ! 鵺は真面目だから、もし本当に既成事実が出来たとしたら一生一緒にはいてくれるけどっ! 鵺があたしを好きになってくれなきゃ意味ないもんっ!! 「鵺!どいっ―――」 どんどん鵺の顔が近づいてきた。 ぼんやりと開いた目が色っぽくて、真剣で、あたしは思わず息を呑んだ。 嬉しい、嬉しい・・・けど、やだっ! 「ぬ」 鵺、起きてっ! そう叫ぼうとした。 「くくく・・・!」 その瞬間、鵺の口から笑い声が聞こえる。 しかも、皆で遊んでるときみたいな意地悪な笑い声。 「これでベアハックは出来ねぇな・・・」 ベア、ハック・・・? ああそうだ、たつくんの得意なプロレス技で、しかもかなり古い技で。 最近それにハマってるたつくんに、どうしようかと悩んでたもんねぇ。 うんうん、これじゃ技は出せないよねぇ。 って・・・!! 「鵺の馬鹿ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」 |