「おーい、鵺君、宿題しましょうね〜」

ゴロゴロと転がる鵺君を起こして、あたしは机に向かった。
大学のレポートがあるから、早く進めないといけない。


「ほら、鵺君も宿題あるんでしょ?」
宿題、っていうとなんか違う気がうするけど、まぁ似たようなものだ。
まだ転がって(っていうか、膝に乗ってきた)鵺君を起こして、ペンを持たせる。

「はいはい、勉強勉強」
「・・・・・・・・っち、面倒くせぇ・・・」
「そんなこと言わないの」
ベシっと頭を叩いて(ついでに触覚も引っ張って)鵺君の眼を覚まさせると、あたしもペンを持つ。

図書館で借りてきた本を見ながら、室内はペンの音だけが響いた。


「・・・なぁ

「何?休憩は1時間後だからね」
「やりた、」

ベシ!!


「この万年発情犬!!」

「犬扱いかよ」

鵺君が不服そうに言って、また宿題に戻った。

や、やや、や、やりた、いとか、何言ってるのよ!!今昼間、昼間!
よーし、落ち着け、あたし。
さっさとレポート終わらせなきゃ。

カリカリカリカリカリカリと、室内に、またペンの音が響いた。
かけた目覚し時計の、秒針の動く音が、やけに大きい。


、じゃあちゅーだけ」
「鵺君・・・刺すよ?」

何がちゅーよちゅー!!ちょっとだけ、可愛いからしちゃおうかな!って思ったじゃない!!

でも、だめよ、。鵺君の作戦に引っかかってしまってはだめ。
さっさとレポート終わらせなきゃ。

またカリカリとペンを動かした。




「変なこと言ったら怒るよ」

今度は鵺君の方を見ないで答えると、突然ペンを持っていた手を捕まれる。

「もう!鵺く」
それに振り向くと、今度は鵺君の顔が近くにあった。


キスされて、乙女な展開・・・の、はずなのに、どうして体が傾いて倒れていくんだろう。

「鵺君!!」
「後でちゃんとするから」
な?とクリクリとした瞳に見つめられて、あたしの反論が帰らない前に、もう一度顔が近づいた。




「・・折角、早くレポート終わらせて、鵺君が宿題終わらせたら、おかしあげようと思ったのに・・・!」
布団の中で、枕に顔を押し付けて、メソメソないた。

「一緒に買い物とか、しようと思ったのに。鵺くんの、ばか」
ポロポロ涙が出てくる。


「・・・あー・・・悪ぃ」
「もう、一ヶ月禁止!」
「え!?」



ふいと横を向いて、後ろから聞こえてくる鵺君の謝罪が20回を越えたら、振り向いてやろうとふてくされた。





発情犬 しつけ方



( もう二度と宿題を一緒になんて、してやるもんか! )