「そういえば、ガーディアンってお前一人なのか?」

トゥール・トゥの本部のカフェテリアでかけられた疑問に、は首を傾げた。

「ふぁい?」

モゴモゴと彼女の身の丈の半分はあるだろうか、そんなパフェを役3分の2ほど食べていた。
ゴクン、と飲み込んで、あー・・・とは空を仰いだ。

「そうですねー、歴代、皆一人でしたし」
「・・・へぇ」

「はっ!!ひょっとして心配してくださったんですか!?むしろ、私は鵺様への愛で、多分この世の刃向かう敵は全て撲滅できますよっ!!」
「誰も一言もんなこと言ってねぇよ」

いい加減にしろ。


ドスっとおろされた拳に、はふおおおお!!と叫んで身悶える。
最近、この痛みすら日常茶飯事、というか喜びに変わってきたのは気のせいではあるまい。

「えへへー、でも、大丈夫ですよ、鵺様。ぶっちゃけ、私強いですから」
「だから、別に心配してねぇっつの」
とろけるように笑うに、少々気恥ずかしそうに鵺が小さく反論した。
けれど、はなおもニコヤカに笑う。

「あ!鵺様も危機に陥ったら言ってくださいね!私が姫を助ける王子のごとくっ―――」
「誰が姫で、誰が王子だ、おい」

「そりゃ、もちろん私が王子で、鵺様がお・ひ・め・さ・・・って、玉璽はきついです!!!ずみばぜん!!私が悪かったですっ!鵺様は格好いい王子様ですよ!」

玉璽は本気でキツイですって!!!
キラキラと言い放つに、鵺はそっと玉璽を発動させようとしていた。

ブンブンと首をふり、大げさなほどに慌てるに、溜息をついて、玉璽を納める。

一つ一つの突っ込みが、過激になってきたのは気のせい・・・?
と思いつつも、はその残りの3分の1も食べ始める。



「そういえば―――お前、なんでガーディアンになったんだよ」
「・・・へーっほへふへー・・・ほへは」
「先に食え」
モゴモゴとスプーンを揺らして食べるに、鵺が突っ込む。

正直、なんでこんなに会話に疲れるのに、コイツと一緒にカフェテリアなんて来てるんだろうか。
と悩みつつ、が飲み込むのを待った。


「秘密です!」

手を上げて、えっへんと威張りながら言う梓に、ずるっと鵺の体がずれる。

「あ、でも大丈夫ですよ!この鵺様と奈々ちゃんたちへの愛があれば、根性ど根性!全ての敵は私の敵じゃないといいますか」
「いいから落ち着け」
クネクネと身を捩らせるに、ベシっと鵺が頭を叩いた。

「ぐあっ!卑怯ですよ、鵺様!!っていうか、最近暴力多くないですか!?」
酷いですよ!!
と叫ぶに、煩ぇと返しながら、ポツリと思う。


「(話、逸らしやがった・・・)」

目の前で首を傾げるに、鵺は何だか、胸がムカムカしていた。





フィフティ - フィフティ なんて遠すぎる



( 知らないことが多いと、今更ながらに自覚して、知りたいと願っても教えてくれない君は )