海です。夏です。

・・・。で、何だその水着」
「えー・・・?ビキニ」
「ビキニは却下っつっただろ!?」


えーっと、です。
完結に言うと、鵺の家に押しかけて、無理矢理引きずって海まで来ました。

「海はナンパ場所だからって、ナンパしたら・・・・・・殺すよ?」
思いっきり笑顔で言うと、鵺が固まった。

「・・・しねぇけど、の口から聞くと、本当に殺されそうで怖ぇ・・・」
「あっはっは、浮気したら本気で殺るもん」
ニコーっと笑って、砂浜を歩き出した。



海だー!といって水に入ると、溺れるので(最初のうちは大丈夫なんだけどね)、浮き輪を膨らます。
浮き輪の脹らんでく音が、シューっと響いた。

「イカ焼き食べたいー」
「必死に特大浮き輪を膨らませてる俺をさしおいてか!」
もちろん、膨らませてるのはあたしじゃないけど。

「ねー鵺。やきそば食べたいって」
「イカ焼きじゃなかったのかよ・・・まぁいいけど」
やっと浮き輪を膨らませた鵺と一緒に、やきそばを買いに行く。
鵺の分のお金を受け取って、あたしの分も出して。

箸でモクモクと食べながら歩いていく。
「ねー、鵺。高校3年生が夏に遊んでてもいいのかなぁ」
鵺は早業でやきそばを食べていく(きっと、教会の子ども達と食べてるからなんだろうな。早い者勝ちというか)。
「一日くらいいいんだよ」


近くにあったゴミ箱に捨てに行った鵺の身長は、昔から比べると、かなり高くなった。
筋肉もついて、昔から格好いいって評判だったけど、今は女の子の視線を集めている。


「・・・・・・・・・・・・・・・やっぱり殺してやる」
「は!?」
ボソリ、と呟くと、鵺は何で!?と振り返る。


いや、モテモテな彼氏には、一発釘を刺しておかないといけないでしょう。
うん、きっと。

「今なら三種類から選ばしてあげるって」
「何で彼女と夏に海にデートに来て殺されなくちゃなんないんだよ」
「うーん・・・自業自得」
「どこが!?」
とかって、他愛ない話をしながら、ブラブラと歩く。


何故か、鵺は牽制するように周りを見ていた。
「何戦闘モードなの・・・?」
「ここナンパ場所なんだろ?」
ガシっと鵺があたしの手を掴んだ。

「女連れで浮気・・・?」
「違うっつの」

ガシガシと、反対の手で鵺が頭を掻く。


「ナンパされるの防止してやってんだよ」
太陽をバックに、鵺がニカっと笑った。





逆光 で見る君の 笑顔



( やばい、ココロぎゅって掴まれた・・・! )