自分の学校の正面玄関の前で仁王立ちして流れに逆らった方向で立つあたしって、なんとも変な人かもしれない。 しかも、ぷるぷると足が震えて、なんだかとっても、どうしようもない感じ。 きっと凄い変な顔をしているかもしれない。 「し・・・深呼吸・・・」 ひ、ひ、ふー・・・。 「って、ラマーズ法じゃなくてっ!!」 違う! なんかもう逆に混乱してくるから!! そんなことしてる間に、ガラス戸の向こうから声が聞こえてきて、ドクンと心臓がはねた。 じわじわと足先から頭の先まで真っ赤になっていくのを感じる。 「あははは!あかね、まっじでー!?」 「いや、でも違うんですよ?その、」 「おい緑!柳君をいじめるな!」 「そうだぞ、緑」 「えぇえええ!?」 ガヤガヤと集団で・・・ああ、なんてこった。 赤、紫、ピンク、茶色、黒、緑と、何故か全員揃ってるじゃない。 ・・・いや、ひょっとしたらこれは神様からの試練なのかもしれない。 「・・・ここで、恥をかき捨てなければ、彼は手に入らないんだよね!」 人気者な人だから、ここで頑張らなければ一生手に入らない人ってことなんだ。 きっと。 「でさー、」 「あ、ああああ、あのっ!!」 紫の、えっと、石川君の会話を遮るようで大変申し訳ないんだけど。 今このタイミングで話しかけなくちゃ、通りすぎちゃうから。 きょとんと、複数の目があたしを見る。 うぅ・・・。 「あ、あの・・・す、すみません・・・ちょっと、その、お時間よろしいでしょうか・・・!!えっと、その・・・」 熱が体中を支配するかのように回って、ぐるぐるとちょっと眩暈がしそうだ。 ぎゅううっとスカートを握ると、流石にあたしの言葉の意味はバレバレらしく、相談がされてた。 「ほら、行って来いって」 「え、」 「う、うちの子はやらんからな!!」 「何でかいちょーが言うんだよ」 「いってらっしゃーい、やなぎん」 「あ、あああああああの!!!」 綾崎さんの言葉に続くように、また口を開いた。 だって、なんか大いなる間違いをされてる気がするんですけど・・・!!! 「や、柳君じゃなくって・・・その・・・」 「え?じゃあかいちょー?」 「石川君かもしれないじゃないか」 「もしかしたら堀さんという可能性も・・・」 「殴るわよ、あんた」 「い・・・うら、君・・・・・・なんです、けど」 「―――え」 口にした途端、ぴたりといつも明るい彼の声がとまった。 「え」 「まじ、で?」 「はい、えっと・・・あの、井浦秀君!け、結婚を前提にお付き合いしてください!!」 |