めんどくせぇが、自己紹介をする。

俺の名前は奈良シカマル。
暗部であるが恋び――。


「って何してんだよっ!」


つり上がった目をさらにつりあがらせて、シカマルはあたしにクナイを投げた。
ちなみに、さっきのはあたしだったりする(代わりに自己紹介してあげただけなのに・・・)
暗部にそんなの当たるわけないじゃない。

「おはよう、シカマル。今日も素敵ね」
「・・・ったくめんどくせぇ・・・」
瞬身の術を使って、シカマルを後ろから抱きしめた。


あー、本当このパイナップル頭といい、つりあがった目といい、このものぐさっぷりといい。
実は頭がいいところといい。
「全部大好き!」
「あー・・・はいはい」

抵抗されないのをいいことに、あたしはぐりぐり頬をすりよせた。



「ねぇねぇ、今日はお芋掘りの任務なんですってね」
「いや、なんでしってんのっ!?」

「あたしに知らないことはないわ」
「いや、お前ストーカーかよ」

これも愛のなせる技よ、と言うとシカマルは凄くいやそうな顔をした。




「大体、何で付きまとうんだよ」
最初は敬語だったシカマルの言葉も、何時の間にかタメ語になっていた。

精神の距離が近くなったのね・・・!(馬鹿にされているだけです)


「そりゃ、シカマルが好きだからに決まってるじゃない」
「俺は好きじゃないっての」
ったく、めんどくせぇ。
と呟くシカマルに、あたしはニコニコと笑った。


って言っても、仮面の下だから見えてないんだろうけど。
「素性がわからないから?」
「まぁな。それに、本当に女か、とかわかりゃしねぇ」
んなもん信用できるか、というシカマルに、あたしは仮面に手を添えた。

「あら、じゃあ取る?」
「それやると、俺が殺され――」
シカマルが全部言い終わる前に、パカっと仮面を外した。



「!」



急いでシカマルが顔を逸らすけど、回り込むように顔を見せる。

「・・・・・・・・見ちゃったね」
「・・・・・・・・・・・・・」
可愛い?なんて首を傾げて、それからダラダラと汗を流すシカマルに噴出した。



「なーんちゃって!」
「・・・は?」
ボンと音を立てて、今度は違う姿に変化した。

「変化くらい見破れなきゃダメよ?」
「・・・そんなのわかるかぁ!!!」

下忍だぞ、下忍!と騒ぐシカマルに手を振って、あたしは任務に走り出した。





偽の姿の本当の恋



( あなたに、本当の姿を見せることはできないけど )