今日の朝はいつもより少しだけ遅い起床で、起きた私に短い挨拶が皆からかかる。 それに私も返事をしながら、どうやらまだサンジさんの朝食は作り終えてはいないようで、ほっと息を吐いた。 ふいに、今日は一度も挨拶をしていない船長を見れば、柵に座って脚をブラブラとさせていて。 このままトンっと背中から押してしまえば海に落ちちゃうってわかってるのかしら、と思わず不安になる。 「おはよう、ルフィ。・・・ねぇ、そこ危ないわよ」 「ん?おう!おはよう、!」 「いや・・・だから、」 おはようは確かにおはようなんだけど、大切なのはそこじゃなくて。 私たち悪魔の実の能力者は海に嫌われた存在なんだから、もうちょっと気を付けた方がいいのに。 ・・・海に嫌われてるのに海賊してる時点でもう取り返しがつかない気はするけど。 「大丈夫だぞ?・・・も座りてぇのか?」 「ルフィなら大丈夫だとは思うけど・・・って、え?」 今、何て言った? そう聞き返す暇もなく、私の体がふわりと浮いた。 「―――ひ、きゃぁああああ!!」 ちょ、ちょちょちょ、ちょっと待ってちょっと待って! 海見える!真下に海見える!! 一回溺れて以来、真下に海が見えるって凄い怖いんだから!! そんな言葉にならない叫びを頭の中で叫びながら、この全ての元凶である、隣に平然と座っているルフィの細い腰にぎゅーっと抱きついた。 これ前の私よりも細いじゃないのよ、もう。 「ししし!な?大丈夫だろ?」 「せ、精神的に大丈夫じゃないわよ!ゆ、揺れる揺れるっ!やだ、やだちょっと、離さないでね!離しちゃ駄目だからね、ルフィ!」 勿論海の上に浮かぶ船だから揺れないわけがなくて、しかも真下には海で。 それはもう怖くて怖くて仕方がないのは、どうしようもないと思う。 「お、おう・・・」 私の勢いに驚いたのか、少し珍しい戸惑った顔をルフィがした。 「―――なぁ、」 「・・・な、なに?」 なんだか船が揺れるたびにおちそうで、ブルブルと震えてしまう。 ルフィの声にゆっくりと顔をあげると、そこにはさっきまでの戸惑った顔じゃなくて、にかっと太陽みたいな笑顔を浮かべたルフィがそこにいた。 「大丈夫だって!」 「な、何がだいじょう、」 「おれが一緒だろ?」 「は、はい・・・」 いつの間にか、体の震えも、心の恐怖も全部吹き飛んでしまっていた。 |