今日の占いで最下位だったのが原因なのか、そのワンポイントアドバイスの「バスの移動がベストなり!」っていうのを無視して原付に乗ったのが原因だったのか。
兎に角私は死んでしまって、そうして何故か13歳になって生まれ変わった。

そう、13歳。
正直もう成人してたのに中学生になるって物凄くアイタタターな気がするの、うんするんだ。
兎も角、13歳といえば、思いっきり子どもなわけで。


「お、おい!大きい声出したら撃つからな!おい!」



―――誘拐されました。



「大きな声は出さないので、落ち着いていただけませんか」
ガチャリ、と頭に押し付けられる銃で、心はもうガタガタブルブルって感じだ。
だって私は一般人なのよ、争いも戦いも他人事のようだった世界の一般女性だったのよ。
それが突然こんな特殊な状況に落ち着いていられるかっつの。

「お、おおお、お前!俺を馬鹿にしてんだろ!う、撃つからな!」
「馬鹿になんてしていません、どうか落ち着いて頂きたいと思っているだけです」
なんだか犯人を刺激してるだけになってるかもしれない。
・・・いざ撃たれたら、すぐ鉄になろう。

ガチャリ、と頭の横で銃の音がした。
「落ち着いてんじゃねーよっ!くそ、馬鹿にしやがって!子どもだからって甘く見てやったんだぞ、このガキっ!」
ああもう本当に、誰か助けに来てくれないかな。
まだ仲間入りしたばっかりで、ゾロさんやサンジさんともまだ微妙に関われてないから、この二人はきっと除外しておいたほうがいいとして。
ナミさんとロビンさんは女性だしね。
強いとはいえ誘拐犯と闘わせたいなんて思わないし。
チョッパーも、あんな可愛いトナカイさんを戦わせるなんて、私の良心が死ねる。
ウソップさんは・・・・・・・・・うん。

ってことは、やっぱりルフィだ。

仲間に連れ込んだ人間なんだから、最後まで責任とって貰わないと困る。
「このガキっ・・・!ぶっ殺してやる!」
「ああもう、ルフィ早く助けてーっ!!!」
ガチャン、と大きな音がすると同時に、思いっきり叫んだ。

瞬間。

ドガーンと大きな音がして壁が吹き飛び、犯人が吹き飛んだ。
その、砂煙の奥にいたのは。

「・・・ゾロ、さん?」

刀を構えているゾロさんがそこにいた。
ゾロさんは無言のまま私に近づいてくると、刀で私を後ろ手にして縛っていたロープを切った。
「・・・悪かったな、ルフィじゃなくて」
「いえっ!あ、ありがとうございます・・・」

さっさと先入観で除外していたさっきの自分を思わず責めたくなる。
遠くから、ルフィの声だけじゃなくて、サンジさんの声や、ナミさん、ロビンさん、チョッパー、ウソップさんの声がする。
この人たちが、どれだけ仲間思いで、大切なことを知っている人たちか、紙面を通してだけど、それでも知っていたはずなのに。

「・・・ごめっ、なさ・・・」
「・・・謝んじゃねぇよ」
誰なら助けに来てくれるとか、誰は助けに来てくれないとか。
そんなことを思った私が恥ずかしくて、思わず謝ったその言葉を否定された。

ああ、うん、そうだ。
確かにこれは正しくない。

「ゾロさん・・・」
「・・・」
「助けてくれて、ありがとうございました」
「・・・・・・おう」





本当に大切なことは



( 信じる、という気持ち )