「ひーばりーん」 「今度その呼び名で呼んだら咬み殺すよ」 ガチャっとドアを開けると、中には雲雀がいた。 「・・・・・・・・・それよりも、君、誰?」 「同じクラスの。って呼んでいいよ」 「呼んでいいよとか、僕に命令しないでくれる」 「違う違う、お願いって奴?」 あっはっは、気にするでないよ、おまいさん。 笑うあたしに、雲雀は不機嫌そうな顔をした。 おお、とりあえず女の子にすぐに殴りかかったりはしないという常識は持っているらしい(うん、感心感心)。 ん?そういえば、雲雀が女の子を殴ったって噂は聞かないなぁ。 「しつもーん!」 ビシっと小学生(今の小学生もしないような気がするなぁ)みたいに手を真っ直ぐに天に向かってあげた。 「突然押し付けてきた上にかなり厚顔無恥だね。・・・まぁいいよ。暇だし答えてあげるよ」 で、何。 そう言う雲雀に、あたしはうん、えっとね、と言葉を切り出す。 「雲雀って女の子を殴ったって噂聞かないんだけど、何で?」 「突然何を言うかと思ったら・・・そうだね、女を殴ると後々面倒なんだよ」 傷ついたって責任取れって言われても面倒だし、それをもみ消すのも面倒らしい(いや、もみ消す自体は簡単らしいけど)。 だから、面倒ごとは避けて通るんだって(それに女を殴っても弱すぎて楽しくないらしい)。 「ほうほう、中々面白いなぁ、雲雀は」 「は?」 あたしの言葉に、雲雀はわけわかんない、っていう顔で見てくる。 「そんな雲雀に今日は話があって、やってきたのですよ」 さっきの質問はとりあえず置いといてですね。 というと、雲雀はさらに変な顔をした。 あー、歪んでも格好いい顔だなぁ(うらやましいや)。 「何」 「突然ですが、付き合いを前提に結婚してくださいっ!」 ・・・・・・・・・・・・・ん? 「あれ?間違えた?」 「普通、結婚を前提にお付き合いしてくださいっていうもんじゃないの?」 「おお!ひばりん正解!」 「だからそう呼ばないでくれる」 まったく、変な子だね、君。と雲雀が溜息を吐いた。 「あたしと付き合うと、毎日お弁当が出たりとか、女の子の膝枕とか、息もつかせぬ楽しい会話!」 「どこが利点なのかサッパリなんだけど」 ふぅと雲雀が溜息を吐いた。むぅ、失敗してしまったか・・・。 「でも、まぁ変な子は嫌いじゃないよ」 僕の気が向いてる間だけね。 と笑った雲雀に、あたしは早速飛びついた。 |