18歳になったら迎えに来いの宣言のとおりに、迎えに来てくれたのはいい。
ちゃんと覚えててくれたんだとか、本当に迎えに来てくれたんだとか、いろいろあるわけだけど。



「何でサイズ違うの馬鹿ー!!!」


でかいんだよ、阿呆!


「す、すまん・・・」



ひょっとして違う人に送ったものかと思ったけど、この男にそんな度胸はない。
本気でサイズを間違えたんだ、この馬鹿(というかサイズ知らないんだ)。

「内緒で用意するんだったら、サイズくらいあわせろ!」
あのあたしのトキメキを返してよ!
哲矢が送ってくれた指輪はブカブカだった。


「わかってんの、哲矢。女の一生ものなんだよ?むしろ一生なの!」
「あ、ああ・・・」
とりあえず指輪の前にしっかりと書類の方は片付けたけども。

第一あの馬鹿委員長・・・って、もう委員長じゃなかった、馬鹿雲雀のせいでイタリアに行くことになるらしいし。
何よ、あの並盛馬鹿(並盛離れて生きていけるの?あれ)。


「指輪くらいしっかりとサイズ調べてよ!それくらい調べられるでしょぉ!?」
マフィア最高峰のボンゴレでしょうが!

・・・ボンゴレを何か誤解していないか?」
「うるさい!」
大きな機関だけど指輪のサイズまでは分かるかってことでしょ?そうじゃないのよ!

それくらい、調べて来いってことよ!


「すまん・・・」

う・・・。そんなにすまなさそうな顔をされると、あたしが悪いみたいだ・・・。


「サイズの小さいのと代え――」
伸びてきた手に、あたしは思わずガポガポの指輪を後ろに隠した。

「・・・・・・」
?」
哲矢が首を傾げた。

「どうした。サイズを変えるんだろう?」
一生ものじゃないのか、と哲矢が不思議そうに言った。

そりゃ、一生ものだよ。一生ものなんだけど・・・っていうか、一生ものだから・・・。


「や、やだっ!だめ!・・・あ、新しいの買って来い!」
それくらいのお給料貰ってるんでしょうが!

多分普通の人のお給料の三ヶ月分なんて普通にあるんだから!
(あれ、これって世間で言う玉の輿ってやつ?)


「そ、それはかまわんが・・・」
代えなくていいのか?という哲矢に、煩いと一喝した。

「いいからさっさと買ってきて!」
次間違えたらぶん殴るから!

そう言うと、哲矢は「わかった・・・」と言いながら、また指輪を買いに行った。残ったのはあたしと、あたしの左手の薬指のぶかぶかな指輪。


本当、乙女心くらい勉強してこい、馬鹿哲矢。
あたりに誰もいないことを確認して、ぶかぶかの指輪にキスをした。

これは哲矢があたしのために一人で選んでくれた指輪で、つまりは哲矢からの愛なんだから(飛躍しすぎかもだけど)。

「手放すかっつーの」
とりあえず、チェーンも買わせよう。








( その一つですらこの手から逃してなるものか )