「無理だよ〜も〜終わんないよぉ〜。今桜が咲くくらいに無理だって〜」 「いや、何で桜だよ」 はぁと溜息を吐いた隼人を見ながら、あたしは目の前にある宿題の山を睨んだ。 畜生、課題が多すぎるぞこんにゃろう。 と息を吐いたって何にも変わりはしない。 ただ、どでんとその机の上を占める宿題に目を移した。 これは半分くらい、今目の前で唸っている綱吉の分もあるから、実際はこの半分なんだけど。 それにしても多い。 「ノートに書き写すとか本当ないよ。皆勉強なんてしなくていいさ、さぁ夏のランドへサマーランドへ」 「、壊れんな。つーか宿題しなったてめぇのせいだろうが」 「綱吉だってそうじゃん」 ぶーっと膨れると、隼人はそれに気付いたみたいで、慌てたように綱吉に謝る。 いや、あの十代目のことじゃなくってですね、あのバカ女が。とかって身振り手振りで伝える。 っていうか、バカ女って何だ、おい。 否定するために叫びたかったけど、そんな余裕は無いので、とにかく手を動かす。 綱吉の部屋にクーラーがあってよかったなぁ。 隼人の反対側でちゃっかりと宿題を終わらせてた武が楽しそうに笑いながら宿題を教える。 畜生、その余裕をくれ。 「ねー隼人ー」 「あ?んだよ」 ここ間違ってる、と隼人が細い指で一つの式を指した(あ、本当だ)。 「もう宿題とかどうでもいいから、えっちしよう」 「宿題から逃げんな」 ベシっと頭を叩かれた。 隼人は昔は初だったくせに、もう慣れてしまったらしい(面白いくない)。 武はあっはっはと笑って、綱吉は顔を真っ赤にしてた。 「いいよ、あたし何でもするよ。騎乗位だろうとバックだろうと、どんとこいだ」 「はいはい、後でな。つーか十代目の部屋で変なこと言うんじゃねぇよ」 なんだいこのS隼人。君がすきなのばっかりだろうが。 「あれだぜ、やったことないけど、コスチュームプレイとかもおーけーだぜ」 「この宿題が終わってからな」 いいからさっさと解け、と隼人がワークを押しやる(何だ、結局やるんじゃないかね、君)。 「じゃああれだ、写させてくれるだけでいいとも。隼人あたしの筆跡真似るの上手じゃん」 「俺に写させる気かよ。つーか、いいから宿題しろ」 さりげなく言った言葉はしっかりと聞こえていて、あほかと叩かれた。 仕方が無い(最後の手段だったが・・・)。 「隼人、隼人」 ぐいっと腕を引っ張って、耳元でこっそりと囁いた。 「愛してる、隼人」 「んじゃ、宿題持ってきてね」 カチンと固まってる隼人を置いて、あたしは手短な荷物だけ掴んで綱吉の部屋を出て階段を下りはじめる。 「だーもうっ!」 という隼人の叫び声とともにバサバサと宿題を纏める音と、扉が開く音がした。 |