「パパ、あたし大きくなったらむくろのお嫁さんになる〜」 午後の家族の和みの時間。 やっと今日の仕事(急が入らない限りの)を終わらせた綱吉は、秘書であり妻であるハルと、娘のと一緒にお茶を楽しんでいた。 そうして、目に入れても可愛くないと豪語できるほどの娘のが言った言葉に、綱吉は紅茶を吹きだした。 「げほっ!うぇっほっごほっ!」 「だ、大丈夫ですか!?ツナさん!」 ハルに背を叩かれながらも、綱吉の動揺は収まらない。 「な、何で骸なんだよっ!」 と、ついの前ではしない昔の口調をしている辺りが動揺の値を表していた。 そんな綱吉に心配気な視線を向けながらも、ハルはと向き合う。 「どうして骸さんなんですか?」 同じ言葉を優しく聞くと、はえっとねぇと話を切り出した。 つい先日、が綱吉の居ない執務室に居たときのこと。 「おはようございます、綱吉君・・・と、今日は君だけですか?お姫様」 書類を持った骸が室内に入ってきて、の姿を見つけるとニコリと笑った。 お姫様、という形容は何も骸に限ったことではなく、あの恭弥ですら「姫」と呼び、一種のあだ名のようになっていた。 「おはよー、むくろ」 「おはよーではなく、おはようですよ。そういえば君は綱吉君とハルに似てきましたねぇ」 ヒョイっと抱きかかえられて、ついしがみついたの手は骸のサラリと流れる髪に触れた。 「パパとママ?」 「そうですよ。まぁ、僕は綱吉君が嫌いではありませんし、ハルも嫌いではありませんからね。中々好ましい人間に育っているんじゃありませんか?」 いつか大きくなって11代目になったら乗っ取ってさしあげますよ、と骸が微笑んだ。 が、その危険な言葉はの耳には届かなかったらしい。 「このましい、ってなぁに?」 「好ましい・・・そうですね、好印象――というとさらにわかりませんか・・・。平たく言えば好き、ということになるのでしょうね」 また意味が違うのですけどね、と苦笑する骸には目を輝かせた。 「むくろ、あたしのこと好き?」 「ええ、もちろん」 首を傾げたに、骸は50%ほどの好意をもってニッコリと笑った(後の50%は不明である)。 「・・・・・・・・・・で、何が理由なんだかわからないんだけど」 それぐらいの会話なら別に他の守護者としてるよね? 綱吉の人柄とハルの明るさを引き継いでいるせいと、子供であるという事実からか愛でられているは一種のアイドルのようなものである。 子ども、にはそういう要素もあるし、好き?好きだよ、という会話は愛されたいと願う子ども故の普通の会話だと思う。 この会話が原因なら、他の守護者とも結婚したいと言い出してもなんらおかしくない。 そう思って聞くと、はえっとね、とかわいらしく小首を傾げた。 「だって、むくろはあたしを「大切な子だから」って言わないもん」 骸本人が年齢不詳な(精神年齢は何歳か計り知れない)ためか、年に関係なく平等だ、色んな意味で。 「はひぃ・・・それがちゃんの心を掴んじゃったわけですか」 フォーリンラブですねっ!とまるで学生時代に綱吉に恋をしていたときの目の輝きでハルは頷いた。 「ママは精一杯応援しますからねっ!」 年の差なんて骸さんに気にしてもムダですよっ!とハルは恋する乙女の笑顔で微笑んだ。 「うんっ!」 と頷くの笑顔もすでに恋する乙女の輝きだった。 「お、俺は絶対に認めないぞ!?認めないからなっ!!」 綱吉の叫びだけが虚しく響いた。 |