「久し振りですね、
そう言って、微笑む骸様にあたしは思いっきり飛びついた。

「むくろ、さまっ!」
「実体化はあまり長時間出来ないので、ここにいれるのは少しだけなんです」
ぐしゅぐしゅ涙を流すあたしに、骸様が諭すように言った。
それって、あんまりあえないってこと?

「お会いしたかったです、骸様」
「ええ、僕も会いたかったですよ、

ちゃんと見たいのに、目の前が歪んでしまった。
瞼と一度閉じると眼に溜まっていた水は流れたけど、またすぐに一杯溜まってしまった。


「お会いしたかったです、骸様」
あたしと犬と千種を逃がしてくれた骸様。
冷たいふりをしているけれど、本当は優しい優しい骸様。
大好きな骸様。


「会いたかったです、骸様」

本当は、ぎゅうって抱きしめて、キスをして、ずっとずっと傍にいてほしいです、骸様。
でも、でも、無理なんですよね?

だって、骸様はここにはいないんですよね。

、泣かないでください」
骸様が苦笑して頬の涙を拭ってくれるけど、涙は止まらなかった。
その手は冷たくて暖かくて、瞼に落とされたキスは火傷しそうなくらいに熱かった。



「骸様、行かないで。あたしを置いていかないで。ずっとずっと傍にいて」

やです、嫌です、骸様。
あたし駄目な子なんです。
骸様がいないと一人で眠れなくって、涙だって止まらなくって。
あたし、あたし、骸様がいないと、何も出来ないんです。


「すみません、
骸様が困ったような顔で言う。

嫌です、消えないでください、骸様。
そういっても骸様はずっとここにはいれないみたいで、どんどん骸様の気が遠くなっていく。

駄目です、行かないでっ!
ずっとずっと一緒だったじゃないですか、犬と千種と、あたしと、骸様。
居場所のないあたしたちに居場所をくれて、ずっと一緒だって言ってくれたじゃないですか!


「骸様!骸様っ!大好きです!」
大好きです!
傍にいなくても、あえなくっても。
どうしてもこの思いだけは止まらないんです。

そう言うと、骸様はにっこりと笑ってくれた。
「僕も、を愛していますよ」




ゴトリと音がして、髑髏が倒れこんだ。

骸様、待っていてね。
「絶対絶対助け出すからね」





たとえこの身が滅ぶとも



( 目の前で眠る彼女だけがあの人に繋がっていることを嫌悪するあたしの心の浅ましさは )