「初めまして、と申します」


ぺこり、と頭を下げた先には見知らぬ茶髪の男の人がいた。
えっと、骸君が言うには確か僕が唯一忠誠を誓ってる上司ですよ、と言ってた気がする。


「あ、え、えっと、俺は沢田綱吉です。はじめまして」

戸惑いながらも笑顔を返してくれる沢田さんに、あたしはにっこりと笑顔を浮かべた。
その後ろにいる人たちからあたしをじろじろと見ている視線を感じる。

んと、あたしをって言うよりは、骸君を、かな?

。彼がボンゴレ十代目で・・・?」
「・・・凄いね、骸君。格好いい人たちばっかりだね」
「今の論点はそこじゃありません」

べしっと骸君に頭を叩かれた・・・痛い・・・。
えっと、そういえば骸君のいるボンゴレについて・・・だっけ?


「ボンゴレ・・・ボンゴレってあさり・・・じゃないんだよね、勿論。んーと・・・アイドルグループ名?」
「だと本気で思ってるんですか?」
「ううん、全く」

あたしと骸君が話をしてると、沢田さんが戸惑ったように口を開いた。


「ちょっと悪いんですが・・・確認させてもらってもいいですか?・・・あの、さんはさっき骸に拉致されてた人ですよね」
「あ、でいいですよ。えっと・・・拉致されてました?」
「僕にそれを聞くんですか?はどう思うんです」
振り向いて骸君に尋ねると、逆に尋ね返された。

うーん・・・。

「地下に入ったのはあたしの意思じゃなかったけど、携帯折って拘束されても鎖付けられても性玩具にされても、もう骸君の傍ならどうでもいーやって思ったあたしの一人勝ち?」
「・・・なぜ勝負・・・。君と会話をすると激しく論点がずれる気がするんですが」
「がんばれ骸君!」
「他人任せか!」
ファイオー!って握りこぶしを作ったら、べしっと頭を叩かれた。

「ちょ、漫才とか物凄い告白とか今はいいですから、とりあえず骸!さんとはどんな関係の人!?まさか別ファミリーの人とかじゃないよね?」
「誰が漫才ですか、誰が。それと綱吉君、僕がそんなへまをする人間だと思いますか?」
「ファミリー・・・?えっと、とりあえず結婚相手は置いてきたから、ファミリーではない?」

あたしあの人に関しては問答無用で捨てちゃったから、ファミリーじゃなくて戸籍上は結婚したまんまだけど独身みたいなものですよ?


「ファミリーは家族のことじゃなくて、マフィアのことですよ」
「ああそうなんだ・・・ってマフィア!?骸君マフィアだったの!?すごーい!」
あれだよね、マフィアってマフィアって、銃をババーンな人なんだよね!


「あーもうだから論点がずれてますってば!!で、骸とさんは何!?」


何・・・何って。

思わずあたしと骸君は顔を合わせて、首を傾げた。



「黒曜のときの同級生だよね」
「ええ、そうですね」



こくりと頷いた。


「・・・え、あの、恋人だったとか、そういうのは・・・?」

「ありません」
「ないよねー」


「だったら何で拉致ったんだよっ!!ああもうっ!」

わけわかんない!と叫ぶ沢田さんを見ながら、骸君が、ああ忘れていました・・・と神妙な顔で頷いた。


「綱吉君、綱吉君」
「何!」
うがぁっと叫んでる沢田さんに、骸君が言い忘れていましたが、と笑った。


「僕たち結婚しますんで」


「・・・あれ?結婚?あの人とまだ戸籍結婚状態だよ?重婚?」
「大丈夫ですよ。綱吉君はきっと僕の幸せのためならあの男に圧力をかけて離婚させるなんて造作もないですから」
「ほんと?そんなことできるの?わぁ!凄い!」
すごいなぁと骸君がクフクフ笑ってるのを見てると、沢田さんがプルプルと拳を震わせていた。


「とりあえず・・・骸が幸せになるための努力ならしてやるから・・・だからとりあえず説明しろーーーーーーーーー!!!」


沢田さんの叫び声に、骸君がにっこりと笑って、「面倒くさいです」とだけ言った。





ぶらいだる!



( あれ?っていうか骸君ってあたしのこと好きだったの? )