「ちーちゃんが誕生日に欲しいものって何だと思う?」

ねぇ、犬。
瓶とかを並べてボーリングをしていた犬に言うと、犬は少し渋い顔をした。


「・・・ちーちゃんって誰びょん」
「決まってるでしょ!あたしの可愛い可愛い千種よ!」
ビシっと親指立てて言えば、犬はブフッと噴出した。

ちょっと失礼な奴だ。


「兎に角、ちーちゃんは何が欲しいと思う?」
「わ、笑うからそれやめるびょん!・・・柿ピーなら帽子とかでいいんじゃねぇの?」
腹筋を振るわせる犬が、ようやく顔を上げて言った言葉に、あたしは反射的に口を開いた。

「馬鹿犬!」
ちなみに、「ばかいぬ」と読む。


「えぇええ!?な、なんれ!?」
「ソムリエにワインをプレゼントしちゃいけないのと一緒よ!下手に素人が帽子の達人であるちーちゃんに帽子をプレゼントしてもいいと思ってるの!?」

「・・・帽子の達人らったんだ・・・」
ちーちゃんの帽子はそりゃもう凄い。言葉じゃ表しきれないくらいに。


「あ、じゃああれじゃれぇの?ほら、わらしがプレゼントーみらいな」
「えぇ〜?何かありきたりでしょ。ダメダメ、それは夜中にやるからいいの」

「やるんら・・・」

あとちょこちょこと話をしたけど、ギブアップされてしまった。




「ねぇ、骸様。千種が誕生日の欲しいものって何だと思います?」
「おや、。・・・そういえばもうそんな日にちでしたね。・・・そうですね、私がプレ」

「私がプレゼントなんて言ったら犬と同レベルですよ、骸様」
そう言うと、骸様はショックな顔をしてた(まったくもって犬に失礼だということは考えない)。

「・・・ごほん。そうですね、千種は結構特売品が好きですが・・・誕生日に、というわけにもいきませんし」

玉子が切れたとは言っていましたが・・・と骸様が呟いた。
うん、流石に誕生日に玉子の特売品を買うなんて味気ない。


。物ばかりがプレゼントではありませんよ。クフフ」
ちょっとどころかかなり特徴的な笑い方をして、骸様が立ち上がって出かけてきます、と言った。


骸様・・・ヒント出したいのか、訳分からなくさせたいのか、どっちですか。




うむむ・・・結局当日になっても何にもわかんなかった。


帽子は却下、私をプレゼントも却下。
というか、私をプレゼントなんてあたしのキャラじゃないし・・・。

とりあえずあたしが思いついたのは早起きで、ガチャリと扉が開いて千種がやってきた。


「・・・寝坊した?」

「おいこら、失礼でしょうが」


何人の顔見て寝坊したとか・・・確かにいつもは10時くらいまで寝てますけど。
めんどいしまぁいいや、と台所に向かう千種に、あたしは声をかけた。


「誕生日おめでとう、千種」
そう、にっこり笑顔までつけたっていうのに。

「・・・今日雨かも・・・めんどい」
「いい度胸だ、表出ろやこらっ!!」





一番最初に言いたい言葉



( はーっぴばーすでーとぅーゆーとは言ってやんない、ばか! )