「ねぇ、リボーン。あたしの体はチッポケで胸も小さいし顔も可愛くないし背も小さいし頭も馬鹿だし鼻も低いし足も短いし性格も全然可愛くないけれど、あたしリボーンのことを愛してしまったの。それこそなくなるまで全部全部捧げて、キスだろうがセックスだろうがなんだってしてあげたいの」 ヒュと息を吸い込んだ。 思っていたより酸素が足りなくて、少し大きく吸い込んだ。 「全部あげるから、その代りにリボーンを頂戴」 手を広げて、まるで「お菓子を頂戴」というようににっこりと笑った。 そんなあたしに、リボーンがにやりと笑って座るあたしの脇に手を持ってきて持ち上げて抱えた。 ぐいっと引っ張り上げられて、あっさりと胸の中にあたしは埋まった。 ふわりとリボーンから漂うのは濃い血の味。 「俺の全部を奪えると思ってるのか?お前は」 少し楽しそうにリボーンが笑う。 そんなリボーンの首の後ろに手を回して、あたしも口端を吊り上げてにっこりと笑った。 「まさか、超有名アルコバレーノのリボーンから奪えるものなんて何もないと知っているわ」 だってあたしは戦う術すら知らないような可哀相な被害者で、貴方はどこでも生きていく術を知っているヒットマンなんだもの。 隙をつくことすらきっとあたしには不可能でしょうね。 あたしの答えにリボーンは意地悪く笑った。 「その通り。お前に奪われるほど落ちぶれてなんかいねぇな。それを知っているなら何を望むんだ?」 辺りからプンプンと血の匂いがするけれど、リボーンから漂うとそれだけで高い香水よりも価値があるように感じた。 奪うつもりなんてないのよ、リボーン。 「貴方はただ貴方を持ちつづけていればいいわ、リボーン。その代わり仕事以外の貴方をあたしに与えて頂戴。プライベートなあなたがあたしだけを見てくれればそれだけでいいわ」 願い事はたった一つよ、ねぇ叶えてちょうだい。 ぎゅうっと抱きつくと、リボーンからクツクツと笑う声が聞こえた。 その音は低温であたしの耳から身体、腰、足へと伝わって甘美に全体を痺らせていく。 声まで素敵だなんて、なんだか卑怯だわリボーン。 貴方と私が出逢った瞬間から、そうそれはまるで麻薬を体内に注入してしまったかのように甘美に酔ってしまったのよ。 ねぇ、責任を取って頂戴リボーン(なんて勝手な言い草なのかしら)。 「俺には愛人がいるんだぞ?」 「じゃあ、全部と手を切って頂戴」 リボーンのことだから後くされのない人を選んでいるんでしょう? そういうとリボーンはまたニヤリと笑った。 「随分と傲慢な女だな」 「あら、これは傲慢なんかじゃなくってよ?あたしの元の望みはただ一つ、あなたが欲しいだけよ?」 まさかあたしがそんな大それたこと考えるわけがないじゃない。 ねぇ、あたしの今までの世界を壊してしまったリボーン。責任を取ってくださいな。 「俺は、今すぐお前を殺すことだってできるんだぞ?」 チャキリとリボーンの手にある銃が音を立てた。 知ってるわよ、さっきもそうやってあたしの周りにいる人たちの命を奪っていったわ。 まるで、綺麗に、一枚の絵のように。 「それも素敵ね。リボーンのこの仕事の最後はあたしのことだけを考えてくれるんでしょう?」 素敵だわ、と笑うとリボーンが小さな溜息を吐いた。 「・・・やめた。生かしておいてやるよ、中々面白い女みてぇだからな」 退屈だけはさせるなよ、とあたしを抱き上げたまま歩き出したリボーンに抱きついた。 |