どうしよう、と思った。 別にいつものことなのに、全然変わらないことで、毎日のことで。 なのに、なのになのになのに! どうしようっ! 「おはよー」 ちょっと早めに布団から抜け出して、あたしはリビングでボンヤリとしてから朝食を作った。 基本的に小さい子じゃないかぎり一番に起きた人が作るというルールになってるここで、あたしが朝食を作ったのを変に思う子はいなかった。 (誰もサボろうって寝続ける子がいないって凄いと思う) ああ、困ったっ! 朝食を並べながら、あたしは悶々と考え事をしてた。 トリップしてから何ヶ月経っただろう。 前の世界で死んでしまったあたしはこの世界にやってきて、幸運なことに鵺と出会って、一緒に暮らすことになった。 勿論、いろんなことがあったけど。 優しい子ばっかりで、すぐに溶け込んだから人間関係で困ることは無かったんだけど。 そうして、大分経ってからあたしには困ったことが出来た。 前からそれはあったんだけど、気づかないフリをしてきたのに。 なのに、気づいちゃった。 「じゃあ、いただきます!」 鵺の声にあわせて、みんなも続いて言った。 何にも変わらない食事風景なのに、あたしだけ変なことばっかり考えて別世界にいるみたいだった。 まぁ、例え別世界に行ったとしても、元の世界にはもう帰れないけど。 「お姉ちゃん?」 ふと、ボンヤリしてたあたしの顔を覗き込んだのは、ハナちゃんだった。 「へ?」 こっちを見てたのはハナちゃんだけじゃなくって、鵺も不思議そうな顔をしてた。 「何かあったの?」 「え、いや、いやいや!何もないよ?」 あははーと笑うと、ハナちゃんはちょっと納得できないような顔を向けてたけど納得してくれた。 何でもない、何でも・・・ない、と思う。 「、どうかしたのか?具合でも悪ぃのか?」 そう鵺が言うけど何でもないよと首を振った。 何であたしはあんなことを思ったんだろう。 いつも通りで、いつものままで、いつもと変わりなんてしなかったのに。 だけどそれはあたしの中から離れてくれなかった。 「やっぱり何かあったの?」 今度は首をかしげたのはコウ君だったけど、違う違うと否定した。 本当にあたしも不思議でわけがわからなかった。 だって、いつものことだったんだよ? そりゃちょっと色々とおかしいことだって知ってるけど、向こうだって何にも言わなかったし。 きっと、どうしようって思ったのはあたしだけなんだと思う。 トリップしたあの日から始まった、こと。 鵺と一緒に寝起きしてることをどうしよう!って思うなんて。 |