「な、何がどうなってそうなるんだよ・・・」 鵺が脱力したように聞いた。どうせならあたしも一緒に脱力してしまいたかったなぁ・・・。 「えー。鵺お姉ちゃん嫌いなの?」 ナナちゃんは不思議そうに首を傾げた。 「嫌いじゃねぇけど・・・。いや、そうじゃなくてなんで結婚なんだっつーの!普通結婚っつーのはだな、愛し合った二人が一緒にいるために――」 「お姉ちゃんは鵺のこと嫌い?」 「人の話を聞けぇええええ!!!!」 何の漫才なんでしょう、これは。 っていうか鵺って意外とロマンチックな乙女だったんですね・・・。 「あ、あの・・・ナナちゃん。何で結婚って話に?」 今の流れから何でそうなるのかが一切分からないんですけど。 「だって結婚したら家族になれるでしょ?」 ああ、そっか!えらいー!という声が色んなところから沸きあがった。 そんな皆に、やっと鵺が復活したように起き上がった。 「あのなぁ、そんなことしなくても養子縁組とか色々あるだろうが」 「えー・・・それじゃあ面白くないよぉ」 「面白みの問題じゃねぇっつーの!!第一なぁ、孤児院にいる奴等は皆家族なの!」 はいこの話はおしまい!と鵺はスッパリと子ども達の話を終わらせた(さすが慣れてる・・・)。 パンパンと叩いた手と同時に、ぶーっと膨れながらもナナちゃんが離れて、皆は今までしてた結婚コールを止めた。 「つーわけだから、ここにいていいんだぜ?」 ポンポンと優しく頭を撫でられて、あたしは思わず泣きそうになって俯いた。 「で、も・・・迷惑だし、甘えちゃいけないしっ」 「ばーっか」 「うぎゃっ!」 い、今、首がぐきって、ぐきってっ!おい、笑ってる場合じゃないっつーの!! 痛みでジンワリ浮かんだ涙で睨むと、鵺はケラケラと笑った。 「誰がんなこと決めたんだよ。マイルールなんて捨てちまえ。俺がいいっつったらいいんだよ。は俺らの家族になったんだから」 ぐりぐり思いっきり撫でられた。 ちょっと子ども扱いかよって思ったけど、その遠慮ない優しさが嬉しかった。 ここにいてもいいんだよって言われてるような気がした。 「ん」 頭をぐしゃぐしゃ掻きまわしてた手が外されて、あたしの顔の前に出された。 これを取ったら、今日からあたしは鵺達の家族になれるんだ。 まだ甘えちゃいけないとか、迷惑かけちゃいけないとかって思ったけど、思ってるけど。 迷い無く出されて、ちょっと経っても引っ込められない手が大丈夫だって言ってる気がした。 一人じゃないって、苦しまなくていいって、ここに帰ってくればいいって。 「――ありがとう」 結局涙が出てきて、あたしはその手に手を重ねた。 「よろしくな、」 ニカっと笑う鵺に、あたしも嬉しくって笑った。 「ふ、ふつつかものですが・・・」 「だから嫁入りかっつーの」 ベシンと頭を叩かれた。 |