ああ、神様。いるのなら教えてよ。 こんなことって、ありなの? ――違う。神様なんて居ない。居るはずも無い。 居ないから、こんなことになっちゃったんだ。 「ちゃん」 「なに?林檎ちゃん」 目の前までニコニコと笑いながらやってきたのは林檎ちゃん。 「もうそろそろ解散にしようと思うんだけど、何かある?」 林檎ちゃんは王なんだからもっと威張ればいいのにって思うけど、本当にいい子で。 とても優しい女の子。 「あ、そっか。明日も学校あるしね。あたしは何にも無いよ」 ごめんなさい。 そう言ってしまおうかと思った。 「わかった。それじゃあまたね!」 だけど林檎ちゃんはあたしのそんなグルグルとした心に気づかないで、笑ってくれた。 笑わないで!って叫びそうになった。 だって、あたしにそんな資格なんて無いよ。 あたし最低なんだから。 「うん。またね」 林檎ちゃんは、大きな運命を背負ってる人。 この世界は、世の中の大人が思うよりもずっと重くて、苦しくて、切ないそんな世界。 だけど空に魅入ってしまったあたしたちは抜け出すことをしない世界。 どれだけ、辛くたって。 「ごめん、ね」 誰も居ないところまで空を走ってから、ちゃんと誰にも聞こえないように呟いた。 目頭がツンと熱い。 ごめんね、ごめん、ね。 「皆、ごめんっ、ねぇっ・・・!」 違う、違うよ。皆を裏切ったりなんてしない。 あたしは皆と戦うよ。 ずっと皆と同じ場所に居て、皆と同じ敵と戦って、皆と同じ思いでいるよ。 ずっとずっと、だよ。 でも、ごめんね、ごめん、ごめんなさい。 きっと裏切り。あたしは皆を裏切ってしまった。 皆と同じ場所にいたいって思いは今でも変わらないよ、変わるわけもない。 皆の敵はあたしの敵だし、皆の思いはあたしの思いだし、皆を傷つける奴は絶対に許さない。 「ごめんっ、なさい!」 ぐわぐわと胸の奥の方から何かがあがってきて、目から溢れてどんどん落ちる。 知られちゃいけない、知られちゃ、駄目。 だってこれは皆への最大の裏切り。 駄目だって知ってた。それでも、抑えることなんて出来なかった・・・なんて、言い訳。 「ごめんねぇっ・・・」 あたしは、好きになってはいけない人を好きになりました。 |