「ご、ごめん・・・大丈夫?」

鵺の真っ赤に腫れあがった腕に湿布を貼った。
いつ終わるかわからないこの大規模な抗争は、まだ続いてる。


「俺は平気だっつの。は?」
「大丈夫・・・」

あたしの左足も腫れてる。

あたしは未だに眠りの森で、鵺はジェネシス。
未だに抗争は続いてるし、確執だって消えてない。



「ごめんね・・・ごめん、鵺」
「馬鹿。俺こそごめんな」

あたしは鵺を好きなままで、鵺もあたしを好きでいてくれる。
だけど、お互いの場所は変わってない。

・・・だから、あたしたちは戦ってる。


「ごめんね、鵺」
あたしにはこの抗争をとめることなんて不可能な話で。

「謝んな」
鵺にだって無理な話で。


嵐を待っているしかない、なんて。



「カラス達が大分動いてやがる。重力子のことも、全部」
「うん」
そういってから、鵺はニカっと笑った。

「第一よ、俺らだっていつか年とんだし、そのころには終わってんだろ?あいつらも三十路四十路までやってる体力なんてねぇよ」
「うん」
その未来を、信じるしかない。

いつか嵐がすべてを吹き飛ばしてくれる日まで。


「林檎ちゃんも、蜜柑ちゃんも、白梅ちゃんも、皆大丈夫だよねっ?」
「あの馬鹿はそういうところ甘ぇからな。安心しとけ」
「うんっ」


ごめんなさい。ごめんなさい。
あたしはこれが裏切りだと思っていても止められなかった。

神様が居たんじゃない、悪魔が囁いたんじゃない、自分で選んでしまった。
この人を好きでいたいって、思ってしまった。



「嵐がすべてを壊すまで。それまでの辛抱だ」

「うんっ」


そうしていつか、鵺の大切なBlack Crowの子たちも普通に暮らせる日が来て。
あたしは、林檎ちゃん達に好きな人だって鵺を紹介することが出来て。

そんな、未来が来るまでの、辛抱。



、好きだ」
「うんっ、鵺、大好きだよ」


許されない恋をしました。
それは裏切りなのかもしれません。
でも、止めることは出来ませんでした。

だって、あたしはこの人がこんなにも好きで好きで、どうしようもなかったの。





いつか来る未来まで



( それまでの辛抱だから、頑張ろう? )


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