「やめて・・・触らないで・・・」 思いっきり鵺の腕の中に抱きしめられた。 暖かくなんてない、暖かくなんてない、暖かくなんてない、暖かくなんてない、暖かくなんてない、暖かくなんてない、暖かくなんてない。 言い聞かせても、もう聞かないよ。 「」 「離してよっ」 こんなの、皆への裏切りだ。 「離して・・・」 離れたくない。 だけど駄目だ。 「俺はジェネシスを抜けるつもりはねぇ。あいつらに、普通の生活を送らせてやるためにも」 「っ!」 「は眠りの森を抜ける気はねぇんだろ?」 「・・・当然」 抜けるなんて考えられない。 林檎ちゃんは色々から回ったりどじしたりするけど、優しくて責任感があって、一人でもって頑張って。 蜜柑ちゃんはちょっと男の子っぽいところがあって快活で、だけど人一倍相手のことを大切に思ってて。 白梅ちゃんは小さくて力もなくて可愛くてちょっぴり人形の趣味がアレだけど、でもとても心の強い子で。 裏切る?まさか。 「ありえない、よ」 何時までたっても平行線だね。 交わらないよ。 「だけど、好きだ」 そんなに優しい声で言わないで(泣きたくなるから)。 「あたしも、好きっ」 けど無理があるの。 例えばこの世界は普通に社会に生きる大人たちから見ればくだらないものなのかもしれない。 ひょっとしたら御伽噺のようなものなのかもしれない。 だけど、あたしたちは真剣で。 あの日空に魅入ったときから、もう始まっていた。 「けど俺は、両方とも諦めねぇ」 「・・・無理、だよ・・・そんなの」 「無理じゃねぇ」 無理だよ。 だってあたしは眠りの森で、鵺はジェネシスなんだから。 「だ、って」 「無理じゃねぇ。無理なわけねぇ」 林檎ちゃん、蜜柑ちゃん、白梅ちゃん。大好きだよ。大好き。 裏切るなんて、そんなの嫌。 だけど。 「鵺っ」 「絶対に、無理じゃねぇ」 罪深いほどに、あたしはこの人を好きになりました。 |