「・・・早ぇな」 「ううう・・・はこちゃんに追い返された」 泊まりで遊びに行って来るよーって言ったはずなのに、あたしはその日の間に(しかも5時に)帰ってきてしまった。 バカップルにつける薬が無いって言葉・・・知ってる?と笑顔ではこちゃんに追い出された・・・。 「これもそれも・・・鵺のせいだー!!」 「はぁ!?何で俺のせいなんだよっ!」 うわーんと思い切り体裁も無く泣いた。 だって、最近なんか鵺のエロさに調子狂って何か色々とおかしいし。 それに、不平等だ。 「そのエロさにはごまかされんからなー!馬鹿ー!!」 「はぁ?エロさって何だよ、おい」 手当たりしだいに近くのクッションを投げまくった。 「一人だけ背高くなりやがってー!あのチビ時代はどこ行ったっ!」 「背高くなるに決まってんだろ、男なんだから!」 ち、反撃に出やがった。 「うっさいわ!筋肉まで付きよって!」 「いろんなやつと戦ってるんだから、筋肉付くくれぇ当たり前だろうがっ!!」 もう、戦場。カオス。 まだ飛んでるのがクッションでしかも物には当たらないようにしてるから大丈夫なんだけど。 「第一な、それならこっちだってあるんだぞ、ボケ!」 「誰がボケよ、ボケってっ!!」 ベシベシベシっと三連発くらいで投げてやった。 無論、これで撃沈するようなやつじゃない。 本当は分かってる。鵺がエロくなったんじゃない・・・。そうじゃなくて。 「いい!?鵺!惚れたほうが負けなんて嘘なんだからね!」 「は?」 手元のクッションを全部投げて、立ち上がってビシっと指を指した。 はこちゃん達やシムカちゃんに聞いても、誰一人として鵺をエロくなったとは言ってくれなかった。 そりゃ、確かに大人にはなったとは言ってたけどね。 つまり、あたしの目を通してはエロくみえるわけで。 「それは他者から見ての話!つまり夫婦のあたし達にはナンセンス!」 「ナ・・・ナンセンスって・・・何か変なもんでも食べたのか、」 ええい、煩いわ! 「つまり、夫婦においては相手がエロくみえるくらいに好きなほうが勝ちなのよ!」 というわけで、本当はあたしが勝者! どういうわけだよ、って言われそうな気がするけど気にしちゃいけない。 「指輪を送られて、毎朝襲いたくなるくらいに鵺がエロく見えるあたしに、鵺は負けてるのよ!」 おーほっほっほ、敗者め!そういうと、鵺の目がギラリと光った。 実は、別にこんなやりとりは初めてじゃなかったりする。 勝ち負けに関してかなり張り合いまくるあたしたちの、一種の夫婦のコミュニケーションってやつ。 「あぁ!?ふざけんなよ!俺の方が勝ってるに決まってるだろ!」 「はっ!笑止千万!かかってきなっ!」 これが、なんだか普通の夫婦とは違うちぐはぐなあたしたちの日常です。 |