「それって惚気ぇ?」 ピシャン、とはぁとため息を漏らすはこちゃんに切り捨てられた。 惚気・・・のろけ、じゃないっ!じゃないのっ!! 「まぁまぁ・・・。さんは本気でおっしゃってるんですから」 奈々ちゃんがフォローしてくれた。 「そんなこと言っても惚気以外の何にも聞こえないじゃない。正直に言っちゃえば?」 「言えるわけないでしょっ!!鵺がエロすぎてドキドキして鼻血でそうでやばいなんていえるわけないでしょっ!?」 「やっぱり惚気じゃん」 スパっとまたきられる。 ううう・・・のろけじゃない・・・のろけじゃないんだ。 「そ、それで?」 戸惑ったように聞く枢ちゃんに、うんと一つうなづいた。 「別に自分が鵺の邪魔になるとか、そう思ってるわけじゃないけどさ」 そんなこと思ってたらキリが無いし、そんなこと思わないって知ってるし。 ライダーで、結構鵺とは互角ってほどじゃないけど戦えるくらいの力はあるんだし、邪魔にはならないと思う。 ・・・うん、あの日の努力は大変だった・・・。 兎に角、そんな邪魔になるようなことは無い、と思う。 「もうちょっと胸が大きかったらなーとか、スタイル良かったらなーとか、美少女だったらなーとか思うわけですよ」 切実に。 鵺は気にしてない・・・と思う。 でもね、そういう問題じゃないんですよ。 ましてや少女漫画のように、「俺はお前だったら良いんだよ!」とか、そんな流れを待っているわけでもなくて。 男には理解できない、女の一生の悩みってやつですよ。 「・・・しかも、女より色気ムンムンになった鵺の隣に居たら・・・さ」 並ぶのが恥ずかしいとか、そんなことはない。 ぶっちゃけ、あたしは周りの目なんて気にしないし鵺も気にしてないし。 なんていうかさ。 「何でこいつ女のあたしよりエロいのよーー!!!何でこんなに襲いたくなるほどエロいわけ!?逆じゃない?逆!!」 普通女のあたしが年を取ってエロくなって鵺がドキドキしてる構図がもっともじゃないっ!? 何で女のあたしがエロくなった鵺にドキドキしなきゃなんないのよっ! 「ってことは、つまりあんたの言いたいのは」 はこちゃんが呆れたようなため息を吐いた。 うう、その通り、その通りですよ、馬鹿ぁ!! 「鵺様とつりあわないとか、傍にいたら鵺様に迷惑がかかるとか、そういうことじゃなくて」 もちろん、その通りです、奈々ちゃん。 そんなこといちいち気にしてたらキリないし、気にしない性分だし。 むしろ、一緒にいるならそれで良いし。 「つまり、鵺君にドキドキさせられて、悔しいってこと?」 ああうんそうですよ、そうですともさ!枢ちゃん! 正直に言いましょう! 「鵺に負けるなんて悔しすぎるーー!!」 |