「えー、だって違うよ。ドキドキしないもん」
ほら、とあたしはイルミの手を心臓のところにあてさせた。

「一応、俺胸触ってるけど」
「ああうん、ドキドキしないねぇ・・・」

さっきのキスだって顔は赤くなったけど、ドキドキはしてなかったし。
というか、人の胸をもむのはやめてくれませんか、イルミさん。

そりゃ胸に手をあてさせたのはあたしですけどね、ええ。


「揉んでも変わらないんだ」
「いや、うん、まぁ・・・っていうか、うら若き乙女の胸を揉まないでください」

そう言うと、揉んでいた手が離れて、視界がぐらりと揺れた。


「じゃあ、これは?」

視界に見えるのはイルミと天井。あと後ろにベット。
あれ、これってひょっとして押し倒されてるってやつですか?

「わー、ちょっと倒れるかと思ってドキっとした」
「意味違うし・・・。わかった、キスしたからただその状況に照れただけだよ」
「なるほど!」

そっかそっか。
そう言って、イルミがあたしを起こそうとした瞬間。


「イル・・・んまぁああああああああ!!!!!」
「あ」


バタンっと凄い音がして・・・っていうか、キキョウさぁああああんっ!?!?!?!?

「やばい・・・」
イルミがぽつりとつぶやいた。
うん、やばい。凄くやばい。っていうかやばい。

結婚が秒読みになるっ!!



「あなたぁ!!今すぐ結婚式を始めましょう!!」
「はやぁっ!!」

秒読みとかそんな問題ですらなかったよっ!!
イルミが必至にキキョウさんに話しかけて止めようとしてるけど、キキョウさんのあの声の前ではあまり意味がなかった。

「ちょ、母さん・・・」
「キキョウさん!色々と事情があったんですって!!」

だから手配をしないでくださいってばっ!!


「さ、行くって」

がしっといつの間にやらやってきたキルアにつかまれた。
うん、このゾルディック家に力で逃げ切れるなんてそんなこと、平凡なあたしにありえるはずもなく。

「ぎゃああああ!!へ、へるぷみーーー!!!」

じたばたと暴れても、もちろん逃げられるはずがありませんでした。
暴れてると、だんだんと胸がドキドキしはじめた。

・・・ちょっとまて、もしかしてこれって。


「何で今更ドキドキしてるのさぁあああ!!」
うわぁああん!




「やり直しを要求するーーーーーー!!!」





恋のあばんちゅーる



( 事情を聞いてくださいっていうか、ウェディングドレスを向けるなぁあああ!! )


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